殺し屋の虹
□第2話 神の代理人(5ページ)
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「ほー、そんな事が・・・。でそのパシリはどうでもいいんだけど、その夢見たのっていつ?送るってどこに?送るとしても県外所じゃなく外国でもないんだろ?しかも異世界か?ここと似たようなとこなんだろうな?」
笑莉の話を聞いて疑問が尽きない桜海は聞きたいことが山ほどできて質問をポンポン笑莉に投げた。
「ちょ!ちょっと落ち着いて!質問多すぎ!おかげで最初のほう忘れたんだけど!」
桜海からの質問に一つ一つ答えようとしていた笑莉だがあまりの量の多さにストップをかけた。
「はー、質問は1個ずつにしよう。うちの頭が追いつかないから。」
「そうか?じゃあまず・・・あれ?何だったけ?ちょっと待って・・・・・・!その夢を見たのっていつだった?」
桜海が最初にした質問を忘れ、考えているのを見ながら忘れるぐらいなら今度から1個ずつにしてねと言いながら口を開いた。
「3日前だね。ちょうど調理の宿題あったし。なのにあのパシリ、全く言いたいことだけ言ってさ、やっと消えたと思ったら目覚ましで目が覚めるし、おかげでうちは寝不足だったんだよ!!」
そのときのこと思い出し若干切れ始めた笑莉を見ながら食物科は調理実習があって忙しいからねと労いの言葉をかけつつ、次の質問していい?とあまり怒らせないように桜海は聞いた。
「はぁ、いいよ。あのパシリ今度会ったらただじゃおかないから。」
「う・・・ん。まぁ、あまりやり過ぎない程度に・・・。で次は、送るってどこに?異世界って言ったんだよね?やっぱし危険な場所?」
「いや?妙なところではないって言ってたけど、うちとしては力が最大限発揮できるってとこも気になるんだけど。」
う〜んと2人そろって唸りながらそもそもの原因となる1ヶ月前のことを2人は思い出していた。
1ヶ月前、2人は桜海の家の近くであいつら・・・・・・正確に言うと陰の世界に属するやつを見掛けた。通常は一般人には見えないし、見えるとしても霊媒師やら霊感がある人やらそういう人たちだ。
だから、普通の人が何も知らないうちに物が壊されたり、怪我人が出ないように害のあるヤツかないヤツか見定め、害のあるヤツだったら退治するために行ったのだが・・・・・・ある程度傷を負わせあと少しのところで逃げられた。詳しく言うと桜海が一突き浴びせようとしたときにいきなり消えたのだ。
そのため笑莉がとりあえずここら一体には気配がないため問題ないと判断し、放置したのだがなぜか笑莉の夢にパシリが現れ、別の世界に2人を送るとふざけたことを言う。
「くっそー、完璧に倒しときゃよかった。そしたら、神だかなんだかいるかもいないかも分からないヤツのパシリになんざ別の世界に送るとか言われずに済んだのに!」
ぐあー、と笑莉の部屋で意味の分からないことをギャーギャー言っている桜海に確かにと言葉を返した。
「?あれ?でもさ、結局夢じゃね?その夢見てから笑莉いつもどおりだろ?まぁ、あいつら逃がしたのはヤバイと思ったけど・・・だから見た夢とかじゃない?」
「そうだったらいいけどね・・・。でもうちらの能力のことまで言われたから・・・・・・・・・うん、いいや、やっぱり夢だね!そういうことにしとこ。これ以上厄介ごとは嫌だし!」
不安な顔をし、それを否定するように頭を振った笑莉を見て、元気付けるように桜海は言葉をかけた。
「でもま、何かあったら夜中でも電話しろよ。電話だったらさすがに親でも兄弟でも気付くし、そしたらオレでも電話に出るからさ。」
そう言う桜海にこくりと頷き電話すると小さな声で言った。その後は、桜海がカバンに詰め込んできた漫画を何冊か取り出し、2人揃ってパソコンを弄ったり漫画を読んだりしながら過ごし、笑莉の家の時計の針が6時を指したときに桜海は家を出た。