僕の影、君の影
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「気が付かれましたか」
目が覚めた途端に掛けられた声に身を堅くした。
『あなたは、誰…?』
「平気です。私は貴女を襲ったりしません。どうぞ、気を楽にして頂きたい」
子供を諭すような優しい声音に体から自然と力が抜けていった。
『私は土方有紀奈といいます。貴方は』
土方となのると一瞬だけ、天霧さんが驚いたような気が…
「申し遅れました、私は天霧九寿。西国の風間家に使えている者です」
…西国…風間。
聞き慣れた言葉だった。鬼の世では有名な…現頭領は、風間千景
「貴方は何故、あのような所にいたのですか」
『…私は旅をして居て、その途中、無数の鬼の気配に囲まれて』
私は兄を追いかけようと家を飛び出した。
「女性の身で旅など…。いくら鬼といっても、貴女は女性なのですよ」
『わかっています。女鬼が稀少であることは、けれど私には行く所があるんです!!』
「危険を省みないで、何処にそんなにも行きたいのです?」
『京に、京にいる兄の所に』
京というと彼の表情はもっと深いものになった。そして、何かを考えるような素振りを見せた
たぶん京は治安が悪いからなんだろうけど…
「わかりました。我々も京に用がありますから、共に参ります」
はいはい、やっぱり駄目…ってえ!?
『えっ…!? いいんですか?』
「勿論、本日中には此処を発ちます」
『ありがとうございます!』