人形姫に思い人
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月が陰って辺りも見えない。けれど、逃げなければと足元も見ずに駆けていく
気にするのは後ろに近付く
――――――――――追手のみ
『やっ…』
逃げなきゃ逃げなきゃと思いながらも体が言うことを聞かない…。後ろからは追ってくる男たちの声と気配
なぜこうなったか…?
暗闇から逃げたくなっただけ、自由になりたいから…。
だから、走って、走った
足が縺れそうになっても、足掻く様に走り、森を抜けた。
だけど、だけど、無情にも抜けた先は急斜面…
私は足元を縺れさせ
下へと転がり落ちてしまった
そして、少女は拾われた。
運命という軸に巻き込まれ物語は始まりを迎えた。
(なあなあ、これって死体…)
(いくら物騒な所だって死体が転がってるわけねえだろ)
(こりゃあ一旦屯所に連れていくか…)
(さすが――さん、俺も賛成!)