僕の影、君の影

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あの日は、滅多に怒ったりしない愁が怒っていて


私は中々止まろうとしない彼を止めようと声を荒立てていた


『ねえ、ねえ愁ってばっ!』


「僕に何か用かい?」


やっと彼が立ち止まり、その綺麗な瞳に私の姿が映った。それは久しく思えた


『何か用って…何で無視するの、目も合わせようとしないし…』


「それはっ…君の気のせいだよ」


やっぱり…あのこと


『やっぱり、私が京に行くのに反対してるから、?心配しなくても私は』


「君は!…君はそんなにトシ君の事が好きなのかい?自分の命を蔑ろにするくらい」


『…しゅう?』


何でそんな瞳するの?そんな辛そうで泣いてるみたいな…瞳。


「僕は、僕は、そんなにも頼りないかい?確かにトシ君や君に比べたら、まだまだ僕は弱い。」


『そんなことな「いや、あるだろう?」』


彼は私の声を遮り否定する。けど本当に彼は弱いわけじゃない…なかった。


「けどね、弱くても僕はトシ君とや君のお母さんに君を護るって誓ったんだ」


私を写していた綺麗な瞳は逸らされて、彼は歩いていた方とは逆の方向に歩いていった


『確かに女の身で京まで行くのは危険かもしれない、けど兄さんや母上を引き合いに出す愁は卑怯だよ?』


彼の背中に言葉をかけても、彼は振り返ってはくれなかった…。


結局、私たちはばらばらに家に帰った…






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