BASARA魂【長編】銀&BSR 元親&総悟編@

□想いB
1ページ/4ページ



【真選組 屯所】


あれから屯所に戻ると程なく隊長格以上の定例会が開かれた

今現在江戸に不穏な動きも有事の報告も上がっては居なかった



松永の件以降、いつになく穏やかな日々が流れている。


今朝方までは--・・



過激派攘夷浪士による犯行予告が屯所に届いた

それはターミナルを爆破すると言った内容で、金銭や重鎮の命の要求などは何一つ明記されていなかった



逆にそれ故に不気味さを増していた



その予告状に記されていた名前




『創界党』




日時は文月の更待月の宵の頃(7月の20〜23日前後夜更け)


静かに書状を読み上げたのは山崎で全てを読み終えるとそれを近藤に渡した

腕を組んだまま難しい顔をしている近藤の傍らで紫煙がゆらゆらと昇っていた





「あと・・・2週間・・・って事か」
煙を吐きながらそう告げた十四郎の言葉に山崎が付け加えた



「創界党って言ったら、六角事件の過激攘夷派の一派です。先般粛清された首魁・天堂紅達の弟、蒼達。

壊滅しては・・・いなかったと言う事でしょうか---・・・」



「六角事件・・・か」



『六角事件』
江戸の各地に火を放ち、混乱の中、将軍暗殺を目論んでいた創界党

黒い企てが発覚し、居城を真選組が突き止め、計画も未完のまま首魁もろとも殲滅

潜伏先は旅籠・六角屋

当時、夜陰に乗じて急襲したのは沖田総悟率いる一番隊4名

死者30数名---・・・




「創界党の残党が居てもおかしくはねぇ。だが棟梁になれる器が居るのかはわからねぇな。
寧ろ、その名前を利用しただけの愉快犯って事も考えられる。
こんなご時世だ。ちったぁ名の知れた攘夷派の名前語ったほうが世間を騒がせられるからな」




黙したまま、十四郎の言葉に耳を傾ける隊長達、近藤、山崎




一人・・・心境の違ったのは総悟だった






六角事件・・何度も何度もしつけぇでさぁ--・・・

この亡霊はいつまで俺に付きまとうつもりでぇ




「近藤さんこの一件、一先ず創界党の残党から洗う事にするが、もう一つ気になる事がある」

「あ?どうした?トシ。他にも何かあるのか?」
「ああ。此処に来てどーもきな臭ぇ動きが出て来てる」





煙草を灰皿で揉み消し、すぐに次の煙草に火をつけた




「最近貿易港への出入りが極端に多い---・・・しかも真夜中だ---そうだな?山崎」

「え・・あ、はい!そうです。文月に入ってからとまだ1週間しか経っていないというのに、すでに先月の約7倍相当量の入出航船の登録がなされてます。

江戸への入港時に記録をとってますが、どれもこれも食糧貨物、若しくは金属備品貨物と言う名目ばかりで」



手元の大きな入港帳をぱらりぱらりめくりながら山崎は

「かと言って・・・実際この中味が明記された物と同様の代物なのかはわかりません」


神妙な面持ちをした近藤の眉がひくりと釣りあがった



「何か他の何かを密輸している・・・と?」
「まだ憶測の域がでねぇからなんとも言えねぇけどな。文月になってから状況が一気に変わり始めたのは確かだ---・・・
どちらにせよ、やらきゃならねぇ相手が増えるだけだ」


瞳孔の開いた目がギラリと殺意を込めて一光した



「土方さんどうさばくつもりで?」
総悟が無表情のまま呟いた



いつもの態度で一瞥すると十四郎もまたいつもの威厳を称えた声で進言した


「ああ。それについては追って連絡する。とりあえず今日はこれにて解散するが、各自気を抜くな」




「「「はい」」」




「解散!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ