BASARA魂【長編】『fifth S』
□『fifth S』【伊達政宗の章】
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「政宗?」
「ah----・・・何?」
「いや---・・・やけに虚ろだな」
「ん--・・・うん」
事務所での話しの終焉は松永さんの進言「期日はまだ少し先だ、長いとは言えないが勘を取り戻し給え」
勘とか取り戻せるのだろうか?
俺はどういう立ち回りをしていたのかとか----遠くない過去の筈なのになんだかちぐはぐな心では思い出せそうに無い
ベッドの上に腰を下ろしたまま、両手を握り締めて取り止めもない思想に埋れていたら静かに小十郎が唇を寄せてきた
「ん・・・・」
っちゅ---
「どうした?----不安・・・・か?」
「---ah、不安って言うか----・・・・・」
表現出来そうにないんだ
自信がない訳じゃなくて、もやもやとした霧を掴んでみせろって言われてる様な感じで
小十郎の手がさらりと髪を撫でる
床に膝をついて、覗き込むような眼差しはとても優しい色をしていて、視線が絡むとつい・・・・照れた
「ッ---・・・小十郎---何ガン見してんの?」
「見たいんだから仕方ないだろ」
「〜〜〜っ----・・・」
口元に妖麗な感じと少しだけ色気を乗せて、また唇を重ねてくる
朝の爽やかな時分、キラキラとした陽光が降り注ぐ中、差し入れられた舌はとても甘く感じられた
「はっ---・・ふ」
小十郎・・・朝から---ッ激しいっ・・・
うなじと毛先を同時に摩りながら、もう片方の手は膝の上に置かれた俺の手に添えられる
皮手袋のはめられていない素手の感触が凄く心地良くて、当然抗う真似なんかしない
少しずつ心臓がうるさくなり始めて舌先に熱が帯び始めてきたから・・・ヤバいと思う
「んっ---こ、じゅっ・・・あふ・・・も、う」
朝っぱらから感じ過ぎて快楽に従順な俺の身体はもう反応の示しているのが良く解る
身を離そうとしても後頭部に添えられた手が間逆の力を注いでくるし、掴み込まれた手は振り解けそうにない
根元までどっぷりと絡まりあう舌が蕩ける
溶けそう・・・・・
「は・・ふ、ぁ・・・・ん」
いきなりの本気モードに為す術なし・・・
っつか・・・
この時間から滾った身体の責任をどうとって貰おうかとか・・・、行為を否定するよりも肯定した先の事を考え始めていた
さっきまでの懸念なんて何処吹く風状態の俺って----・・・存外単純だなと思う
この熱く火照った身体をどうしてくれよう・・・
唇を離された時には、息が上がっていて勝手に熱い吐息が零れる
「はぁはぁ---・・・こっじゅ--・・」
俺なんか目も潤んで、顔が熱いって言うのに・・・目の前の小十郎は口元をつぃと拭ってニヤついていた
「悩みは消えたか?」
「----・・・え」
刹那、目を見開いてその色っぽい微笑に我を忘れる
そのまま身体を引き寄せられて、目の前には真っ白なYシャツといつものネクタイがあった
両手で背を抱かれ、耳元で艶っぽいしっとりとした声色が聞こえる
「あれこれ考えたところで何も答えなんざぁでねぇ---・・・お前は大丈夫だ。政宗---・・・。
中途半端ってのは、何よりも性に合わないんだろ?----・・・・とことんやった先で死んじまうなら仕方ねぇじゃねぇか」
「-----こじゅ・・・」
「まぁ勝手にお前が死出の道のりに旅立っても、俺がその手ぇ引っ張り上げて、何処にもいかせねぇけどな」
ずっとこの温もりを感じていたい
「松永が受けた依頼内容自体が通常とは異なるもんだからな・・・殺し合いと言うよりかは真剣勝負の死合ってとこか・・・
些か、腑に落ちないが-----・・・お前の気質を見込んでの選択だろう・・・
お前はきっちりと礼に重んじる割に、好戦的-----」
「っえ----・・・」
小十郎が告げた言葉の意味を理解するには難し過ぎて----じっと目を閉ざしていた
俺が・・・好戦的とか・・・?