BASARA魂【短編】銀&BSRA

□他人の畑は良く見える
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「へ?帰るって何処に?」
「ああん?何言ってやがる?四国だ四国」
「それなら俺がいつでも連れて行ってやりやすぜ?死国」
「いやいやいやっ字が違うだろが!そんな国まだ行きたくねぇっつの」
「え---・・・」
「えーじゃねぇっよ・・」



ふらりといきなり屯所の俺の部屋に現れたこの銀糸が妙な事を言い始めたから--・・・




柄にもねぇんですけど俺は動揺していた



帰るって・・何で?
船で?

いやいや間違いなくそうですけど



などと・・・いつもするツッコミをテメェ自身にしちまうくれぇのやられっぷり



元親が・・・・帰るなんて考えてもみなかった

いつまでも海にあのでっけぇ戦艦浮かべてこの地に留まる事何ざ、出来やしねぇってことくらい解っている

至極当然の事で・・・いつかはここから居なくなる日が来るとは思ってはいた




思ってはいたんですけどねぇ





なんかいきなりどてっ腹にぽっかり穴が開いちまったような虚無感が襲ってくる



初めての感情過ぎてなんだかわかんねぇ---・・・


ぼんやりと呆けているとまじまじと覗き込むように視線を向けてきた




「ど、したよ?大丈夫か?なんか--・・・もけーっとしてるけどよ?」
「え?--・・」




今、俺は一体どんな面している?

いつもの見下ろす表情浮かべられているんだろうか---・・・





「っつか--・・もけーって何?どんな音でさぁそれ」
「ああん?なんか一番しっくりくる擬音チョイスがそれだったんだからしゃぁねぇだろが---・・・ぬちゃぁーっとかドロっとしてたら
逆にどうした?ってなるだろが・・・バカか」




やっぱり・・・俺がバカなんですかぃ?この辺--・・・

この言い草もタイミングの絶妙さも多分俺だけが楽しんでいる気がする



見た目と間逆の態度も優しさも全部レベル最高なレア玩具にしか思えねぇが---・・・


「まぁよ・・・つぅ訳だから暫く寂しくなるとは思うけどぉ・・・・一人で眠れるか?ん?」




意地の悪そうな半笑を浮かべてゆらりと銀糸が揺れた

刹那、ここが屯所であることを忘れそうになりそうな穏やかな色合いを一瞥しながらも肘をついたまま口を開く




「別に俺は夜泣きする様な餓鬼じゃねぇんですけどねぇ---・・・大丈夫ですよ心配しなくても」
「ああん?別に俺は心配はしちゃいねぇよ--・・・夜泣きはしねぇと思うけど夜な夜な暴れそうな気はしてる」
「--はぁひでぇ雑言でさぁ・・・それ。そこまで無節操に暴れませんって」
「いやいや・・目つきのわりぃにぃちゃんに集中砲火だろが・・・」
「ええ・・まぁ」
「やっぱりな---・・・」



困ったヤロウだ・・・と言った表情は何処となく幸せそうにも見受けられる



そんな元親の顔をじっと見つめている総悟の表情は相変わらずの顔つきに見えた---・・・


重火器のひしめくこの部屋には初冬の薄い陽光が注ぎ込み少しだけ身体をひんやりと包み込む

すっかり自室の様にゴロゴロしている銀糸になんの違和感も感じないのはそれだけ時間を過ごしたという事なのだろうか?


いつ見ても薄着の元親は寒くねぇんだろうか?とかまた柄にもない思想に耽る程、静かな時間が流れていた




「まぁそんな長い時間じゃねぇからよぉ・・・とりあえずぅ---・・・待っとけ?な?」



綺麗な藍色の瞳を細めてニカリと笑いかけられるとついつい素直には答えたくねぇと思っちまう



「俺---待つの好きじゃねぇンで」
「ああん?んじゃ待ってなくいいわ」
「は?」


なんか思い切り想定外な返し喰らった気がして・・・二の句が告げなかった

策士、策に溺れる前に嵌められるっつぅ慣用句集にも載ってねぇもんが咄嗟に浮かぶ


「だから待つの嫌なんだろ?だったら待ってなくていいって」
「ん、と・・・・それは--」




一体どうとればいいんでさぁ・・・・

もう忘れろとかそっちの類なのか好き勝手やっていいぞってゆぅ寛大な心なのか・・・

全く解りそうにねぇ---・・・・






束の間の黙考にニヤけた元親がひょいと俺を軽々と持ち上げたから視界が一瞬ブレて意識が飛んだ






「っちょ・・・何っ!?」
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