BASARA魂【短編】銀&BSRA
□温泉に行こう!※R18
1ページ/7ページ
「なぁ-十四郎」
「あ--?」
「温泉行かねぇ?」
「あ?温泉?」
何をいきなり言ってくるかと思えば---・・・
なんの断りもなしに屯所に現れてスパーンと礼儀の欠片もねぇ感じで俺の部屋に入り込んできたコイツはニヤニヤと嬉しそうな表情を浮かべて目の前にどすりと座り込んだ
そして第一声がさっきの言葉だ
温泉---・・・?
「だからぁ温泉行こうぜ?な?こんだけ毎日冷え込んでるんだしよぉゆっくり露天風呂でも浸かろうぜ?な?」
右手を畳に押し付けて身を乗り出してくるコイツの顔は本当に嬉しそうで死んだ目は何処へ消えた?と言いたくなる程
きらきらと輝く瞳を存分に注いでくる
その綺麗な紅色は好きなんだが・・・
それとコレは話が別だ---・・・
静かに煙草に火をともして溜息を零す
「あ--と・・・待て・・・っつか俺が行ける訳ねぇだろが・・・何処の世界に任務ほっぽいて
この年の瀬に悠長に温泉に浸かる警官が居るんだよ」
「ああ?いいじゃねぇか---オメェが第一号になれよ」
「なんで俺が反面教師にならなきゃならねぇんだよっ・・・無理だっ!」
「無理じゃねぇってぇ---・・・これからいろんな意味で忙しくなるわけだし---話も暗くなる一方だからぁ---少しでも
明るいネタを提供してやりてぇってゆぅ心意気買ってやれよ」
「誰の心意気だよ」
「ん----・・・・?さぁ」
「んだよ・・・それ」
とにかく妙な展開になってきた---・・・
意外な事に---
近藤さんが俺の休みを快諾した
と言うよりも妙に聞き分け良すぎて裏取引でもしてるんじゃねぇかとか---・・・
あらぬもんしか浮んでこねぇ
まぁ銀時が俺を落とし込める様な策に手を貸したりはしねぇとは思うが---・・・・
などと黙考してるうちにあれよあれよと腕を引かれて---・・・
車に放り込まれてみるみるうちに屯所を離れてゆく
賑やかな街の喧騒が見受けられなくなる位、時間が経過して状況の解からない俺の頭にはぐるぐると疑問が湧き上がる
っつか何いきなりお前運転してんの?!
この車何処から持ってきたわけ?!
「っちょ!待て!マジで・・・行くのか?」
「ああ?マジだって---この期に及んでドライブして帰る様なプラトニックな関係じゃねぇだろうが」
「プラトニックとかそゆ問題じゃなくてだなっ!」
「ああ--もうさ・・・かぶき町出ちゃったんだし・・・いいじゃん・・・それとも」
いきなりハザードをつけて路肩に車を止めるとハンドルに腕を乗せたまま横目に俺の顔を覗きこんでくる
「俺と二人っきりで出かけるのが---そんなに嫌?」
「っ--!」
お、前っ-----
ずるいっ・・・・
そんな目つきでいつもの響く低音で聞かれたら----・・・
否定なんか出来るわけねぇじゃねぇか・・・・・
マジ---確信犯過ぎて---ムカつく
はぁと深い溜息を零した時には---
もう腹が決まっていた
「解かったって---・・・おら・・・・車出せって」
「---くす・・・了解」
もういいや---・・・
此処まで来ちまったんなら成り行きはどうであれ、もうそれに流される事にしよう---・・
今更どうにもなりようもねぇだろ
なら---・・・
楽しんだ方がいいに決まっている
俺だって---
来たくなかった訳じゃねぇ
こうやって---
コイツとゆっくりいつもと違う時間を感じたいと常々思ってはいた
ただ世間一般的なしがらみがそれを否としていただけで
こんな状況になっちまえばそれはそれで---・・・
もう嬉しさしか感じられねぇ
はぁ--俺も大した都合のいい人間だ