BASARA魂【長編】銀&BSR 泡沫の夢@
□憂う心の意味
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俺には姉上が居て----遠くない過去に蛇尾に付いた
その時、後悔していたのか----満足たる生き様だったかは知る由もねぇが、最期の時を迎えた姉上の顔はすげぇ穏やかな顔してたのは覚えている
頬に添えられた指先がすげぇ温かいのに・・・・これが命の火の消える瞬間だとか、ひでぇ話だと思った
大人になってから----初めて涙を流したのも、胸の真ん中がぽっかりと空洞になったのもこの時で-----愛別離苦ってもんは俺なんかにも平等に訪れるもんなんだって知りたくもねぇもん理解した
人間が生きているうちに味わう苦しみは----人生を全うした時点でプラマイ零になるってなんかの本に書いてあったけど
姉上は---どう考えても零なんかじゃなかったと思うんでさぁ
でもいつも笑っているから----そんなものは何もないじゃねぇかって勘違いしちまいそうで------・・・・・
そんな姉上が土方さんを好いていた事実の方が----嘘だと思いたかった
【憂う心の意味】
土方さんの行方が解からなくなって---数日経過する
監察組が必死になって捜しているのにも拘らず、あのマヨラーの匂いすら見つからねぇ
闇雲に動くなと近藤さんに再三釘を刺され----やきもきしつつも経過した時間ってもんは世辞にもいいもんじゃなかった
少しだけ----姉上の姿が浮ぶのは何故なんでしょうね・・・
土方コノヤローの死が近い---とか?
いや----
それは幾ら何でもねぇってもんでさぁ
大体、マヨの消費期限って数ヶ月後でしょ
こんな数日で腐り果てる訳がねぇってもんだ
些細なざわめきがいつまで経っても消えねぇから----イラつく俺は・・・・元親と出会うもっと前みてぇなぎらぎらした殺意を全面に醸し出していた
どうでもいい不逞浪士に刃を突き立て----「何か隠してる事はねぇか」と問い質す
「ひぃぃいいいっ俺は何もっ」
「隠し立てして良いもんは何一つありやせんぜ?ほら----早くしねぇと穴開いちまいまさぁ」
「知らないっ!何もっ!本当だっ」
滑稽な事に---そんなこんなで・・・土方さん不在の間に検挙、捕縛した浪士はいつもの倍以上になっていた
何一つ----土方さんに繋がらない
何一つ有益な情報が得られない
どうなっちまってるんだ?
人一人-----簡単に消えちまう世の中か?
いや、まぁ----確かにそんなもんなんでしょうけど・・・・少なくとも真選組副長を何の痕跡もなく拉致るとか有り得ねぇ
何処か納得のいかねぇ俺は穢れた血をぶんっ----っと薙いで鞘に収める
近藤さんはいくらなんでも可笑し過ぎると言って-----明日にでも万事屋の旦那に確認すると言っていた
初動捜査の遅れは否めないが----少なくとも近藤さんも間違っちゃ居ない
何故なら----土方さんはついこの間「数日の休みをくれ」と届け出ていた
珍しい物言いもあるもんだと思いつつ、「トシは働き過ぎだからなっ!ゆっくりしたらいいっ!」とあっさりと快諾
そりゃそうだ
そん時の態度も何もかもいつものマヨラーだったし、先般形式上ではあるが『結婚』したんだ
気持ち悪ぃ事この上ねぇけど・・・
どっちが嫁でどっちが夫?とか・・・へらへら笑ってからかって数ヶ月、此度の申し出があって今に至る
休みにわざわざ連絡するような無粋な真似も、不遇の事態も起きちゃいない
が
近藤さんは念の為に夜の定時連絡ってもんを義務付けていた
こちら側の通達もあるが、所謂『生きている』の確認作業
余計な世話とかじゃねぇんでさぁ
いつでも命狙われる真選組に属している以上、磐石足る確認ってもんは、俺の頭で考えても必須と思う
それが、あのマヨラー初日から反故しやがった
ま、流石に近藤さんも「大丈夫だろう?万事屋も居るだろうし。うん。きっと何もかも忘れて羽目外しちまってんだ。ぐわはは」等と
豪快に笑って流していたが・・・・あくる日もまた----同じ様な状況を迎える
そして、一通の封書が届いた
宛名は『土方様』で・・・差出人は『石田』
はて?枠違いじゃねぇですかぃ?とか、妙な突っ込みいれそうになっちまったけど・・・・それを見るなり怪訝な顔つきに変わったのは近藤さんだ