BASARA魂【長編】銀&BSR 泡沫の夢@

□大切な人
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「----えと----元親」
「ああん?」



ざぁざぁと滝みてぇに降り注ぐ雨から逃れるようにホテルのエントランスへ身を進めて、エレベーターに入り込んで

妙な浮遊感感じながら俺は先の進言について問いかける



湿気でしっとりとする髪の毛をかき上げながら、元親の背を見つめていた


このヤロウがわざわざ、出張って俺を捜し歩いていた真意ってもんがなんなのか?さっぱり結びつきそうにねぇから



「俺に関係のある野暮用って何?」
「ん---ああ・・・・・」



ぼんやりと階数表示を見上げる銀糸もしっとりとしていて、少しだけへにゃっとしている後姿は妙に落ち着く・・・・・


こんなもんに穏やかになっちまう俺って可笑しいですかぃ・・・・・




まぁ---俺にとってのこの存在自体が可笑しいけど----・・・・





〔大切な人〕





ポ----ン


見慣れた階数で扉が開いて、黙したままエレベーターを降りる

深紅の絨毯をさくさくと踏み進んで、カードキーで開錠して、そこでやっといつもの掠れ声が聞こえてきた



「うみゅ---・・・・流石に俺もどうして良いもんやらと思って、な」
「は?」



傘立てに番傘を差しつつ、銀糸をわしりと掴み上げるとちろりと視線を寄越してくる


先の進言の内容がイマイチ良く解からない・・・・・



「何が?----っつか、実際問題電話でもくれりゃぁ済んだんじゃねぇんですかぃ?」


俺が疑問投げるのも当然ってもんで----俺に関係のある何かってもんがあるからこそ、日中にわざわざ歩き回っていたんでしょ・・・・

それを----いつ出会えるかも解からない市中をこんな雨の中歩いていた元親が謎・・・・・


なんの為の携帯電話なんだと思っちまう


「ん----・・・・ま、そうだな」

どうにも歯切れの悪い表白にますます俺の心境は曇る




「はぁああ------」

深い溜息を零しつつもソファーに腰を沈める元親を見つめながら、俺もとりあえずジャケットを脱いでいた


湿気のせいなのか、妙に重たいんでさぁ・・・・・・・



そして床に腰を下ろして、偉そうに仰け反っている姿をじっと見つめていた

すると、ひょいと顔を上げて、間の無い表情向けてくる


「-------っつぅか。電話したけど?」
「は?」
「は?じゃねぇよ----俺はオメェさんの携帯に電話した---ってんだよ・・・・・」
「へ---マジですかぃ?」



確かに局長室で立て込んだ話をしていたとしても----気が付かないわけが----と、自らのポケットに手を突っ込んで「あ----」と声を漏らしてた


ある筈のもんが---ない




「あ、れ?」


ポケット中には何も入ってなくて----ごそごそとしている俺に「だろ・・・・」と呆れた声が降り注ぐ




「-----・・・・・」


俺---今日携帯持ってなかった?

いや、マジでなんの為の携帯電話?って言いたい----俺に




「はぁ----俺も電話したってんだよ----・・・・・したらよぉ、直ぐ後ろで音が鳴るもんだから、えええ?!総悟?!って振り返ってみるも当然の如く居る訳ねぇよなっ----居たら、マジでぇええええって嬉しかったんだけども・・・・・」



いやいや----アンタどんだけ単純?

大体、朝俺見送ってやしたよね----・・・・

今日は何時に終るんだぁ?とか----主夫みてぇな事言ってたじゃねぇですかぃ・・・・




バカか・・・・やっぱり・・・・・・

呆れつつも何処か歯痒くて-----何も言えずに居ると、尚も言葉を続けてくる

少しだけ藍色の瞳に似合わない色浮ばせて----



「最近夜遅せぇじゃねぇか----・・・・・待ってても良かったけど----流石に、コレは早く言っておくべきじゃねぇかって思ったから----
雨の中探してた訳だ-----

したらよぉ----ぐしょぐしょだの濡れ濡れだの卑猥なこと言ってやがるから・・・・」
「いや言ってねぇですって」
「ああ?そうだったか?」





アンタ湿気で頭湧いてんじゃねぇんですかぃ?と言いそうになったけど、元親があまりにも真顔だったから茶化す気にもなれなかった


この銀糸は---相当マニアック且つ、俺の射幸心を煽る考えをするヤロウではあるが存外まともな思考回路してる





だからこそ、俺は棄てられない






寧ろ-----嵌ってる・・・・・・
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