BASARA魂【長編】銀&BSR 泡沫の夢@

□記憶【序】
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銀時の膝の上で眉間の奥深くに浮かぶ映像は、確かに自分の過去のはずなのに何処か掴み所がなくて現実味がない



あの頃のあの生活は一体なんだったんだろな


目に映るものが何かって認識出来るようになったと同時に、目に見えないはずのものまで感じるようになった

それは人が人に対する感情ってもので----透明どころか・・・どろどろで腐った色をしてる




汚濁な空気とツンっと鼻に付く匂い・・・

気持ちが悪い・・・・





〔記憶【序】〕



「ん----一応、さ、俺あんまりテメェの事言葉に当てはめて説明するの得意じゃねぇから----その辺は上手く解釈しとけ、よ?」




温かい・・・


膝から伝わるぬくもりは心底安堵出来るもので、記憶してる中では経験がないものだ

そんな俺の言葉を受けて、ぼんやりとした視線を向けてくるコイツもきっとヤロウに膝枕するなんて経験はないだろう


ま、女に----という視点だとすればありえる話ではあるが・・・

今は俺が独占してる事実に相違ないからどうでもいいか



思考が右往左往してるって事は存外緊張もしてねぇな・・・俺

思い出さない様にしていた訳でもねぇが、過去ってもんは痛みと苦しみと血の色を深く感じて、いい気分じゃねぇ・・・

このタイミングで銀時に明かそうと思ったのは・・・





俺の中で一つの区切りが付いたからだ






今の俺の歳からしてみれば遠い過去なのかもしれない

懐かしいなぁ等と感慨深いもんには絶対になり得ないし、どちらかと言えば-----灰色

そう、穢れている癖に、血の色だけはやけに鮮明なんだよ・・・・・・




「ねぇ---十四郎」
「あ?」



ゆらりと立ち上る煙の向こう側に綺麗な瞳があって、俺だけに注がれている



血の色----

でも、違う




すげぇ綺麗だ


吐き気もしないし、淀んでもいない




「煙たいんですけど」
「あ---、慣れろいい加減」
「え〜知ってる?副流煙の方が被害あるんだぜ?要するに煙草吸わない銀さんもお前と一緒になっちまってるって事ぉ」
「いいじゃねぇか----一蓮托生だろ」



俺は--この漢に依存してる


何もかも渇望してどうしようもない位、欲して-----手放せそうにない

短くなった煙草を灰皿に押し付けて、そのままの指先で銀糸に触れる




柔らけぇ・・・・・・


「大体オメェの糖尿だってどうなったよ?アレだぜ?糖尿も末期になると勃起出来なくなっちまうとか知ってんのか?」
「へ?----嘘」
「マジだ」
「ええええええええ!!!!」




言っておくがこれはマジだ




「だから俺の煙草の煙くれぇは可愛いもんだろぉが----ちったぁ食生活見直せや」
「いやいや、待って待って!食生活の見直し以前に性生活の見直しの方が先決じゃねぇ?!」
「なんでだよっ!馬鹿かっ!!」
「だって勃たなくなる前にもっとやっとかねぇっと!!!」
「だからっ!まだなってねぇだろが!!そうじゃねぇだっろっ!俺の話はっ---まだっ」



さっきまでの穏やかな心地良さなんて欠片もねぇじゃねぇかっ

ばたばたと足は揺らしやがるし、悶えてうるせぇし話聞く気あんのか?!コイツわ!!




「だあああ!!落ち着けって!!!馬鹿っ!!」
「コレが落ち着いていられる事かよっ!!!十四郎の中に入れないとかぁあ!?有り得ねぇええ!!マジ有り得ねぇって!!」




呆れるっ!!
マジで馬鹿じゃねぇかっ!



さっきまでの俺の決意と少しばかりの憂いは何処吹く風になっちまったわ!


胸中立ち込めていた、どろどろしたもんがどっかにいっちまった





霧が晴れるみてぇにすっきりしちまって----馬鹿馬鹿しくて笑える
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