BASARA魂【長編】銀&BSR 泡沫の夢A
□忘れたい
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はぁっ!----はぁっ----
苦しくて----もどかしくて------気持ち悪くて、居ても経ってもいられなくて----屯所から逃げ出していた
何時まで経っても治まらない吐き気と頭痛-----
山崎が時計を見せてから-----俺の身体が可笑しいんだっ-----
はっ----はぁっ!はぁ---
時間帯の程は解からないが-----・・・・・この雰囲気と空気からして十分過ぎる程の夜更けだろう----
漆黒の闇が絡みつく中でも-----この白の隊服は仄かに浮き立って見えて----そんなもんに身を包んでいる俺には違和感しか感じない
俺が俺自身に妙な感情を抱く
なんだ-----この滑稽な状況は----っ
「はぁ!----ぁ-----げっぅ---ごほっ!っぅ」
脚が絡まって-----濡れる地につんのめって前屈みに倒れた
気持ち悪いっ----っ
苦しいっ----
ギシ-----っ!!!
「あっ----っぅ!!!ぐっ----」
泥だらけの手を額に添えて、降り注ぐ雨の中、四つん這いのままきつく瞼を閉ざしていた
気がつけば----刀も持っちゃ居ないっ----
この状況下に置かれて-----不逞浪士になんざぁ出会ってみろ
抗う術もなく----死体になり果てちまうな----っ
「はぁ----はぁっ-----はぁ-----」
身体が熱い-----
此処まで全力で駆けたせいなのか----先般から躍動し続けている胸中がもたらすものなのかは解からない---
いや----違うな・・・・・
俺は俺自身の何一つ解かっちゃいない-----
真選組に属していたのだという記憶を持っているのに-----真っ白な隊服に身を包み込んでいる
かと言って----見廻組に属したという記憶はない
それ処が------近々の記憶の何もかももやもやとしてて思い出せないっ-----
「ふっぅっぐ----ごほっぅ!げっほ----っぅ」
思い出そうすれば、身体が拒否するんだ
まるで----そこに辿り着きたくないと----何かが悲鳴を上げている様な-----
ピチャ-----
「っぅ!!!!!」
雨音で埋め尽くされていると言うのに-----水溜りが弾ける音が聞こえて----同時に人の気配を感じたっ-----
しまった----・・・・・
先に抱いた懸念通りの現実が転がっているのかと-----自身を更に呪いたくなったっ-----
「っと------・・・・嘘・・・・・」
壮絶な吐き気の中に----聞こえた、声に----音が消失する