BASARA魂【長編】銀&BSR 泡沫の夢A

□無垢な十四郎
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この作業に何の意味があったのか----

俺の考えは想像していたのよりも甘かったということなのだろうか?




何故なら----十四郎は意図も容易く、刀を抜き去ったからだ









辰馬とリビングで細々と話していたら、カチャリと戸の開く音が聞こえて、控え目な眼光が寄越される

「-----銀時?」

まるで、扉を盾に自身を隠すような素振りで翠の瞳が寄越されて、まるで子どもみてぇだなと穏やかな気持ちを抱かせた

真夜中にたまたま目が覚めちまって親の様子を伺う感じに見える

いや----
そんなもんは俺自身も経験がなく、した事もされた事もないが、テレビでは見た

きっとこんな感じ---


「-----ん、どした?」


優しく声を掛けちまうとか----さ-----・・・・・
マジで不思議過ぎる----けど、そんなやりとりを辰馬は少しだけ困った顔して見つめていた




先の会話がそうさせるんだろう-----


『恐らく------・・・・・・どっちも本物じゃ』



そんな事って----


「----誰かの話し声が聞こえて----目が覚めたら、お前も・・・・居ない----か、ら」

弱弱しい進言を吐く十四郎が----初見過ぎて----でも、可愛くて----




同時に苦しく感じた


「あっと---悪い・・・・・ちょっと話し込んじまってて、さ-----」


すぅっと手を差し伸べて、こっちにおいでと体現すれば、おずおずと扉から姿を見せて歩み寄ってくる



その姿はマジで----餓鬼だろ・・・・

見た目は十四郎そのものなのに、行動とか---雰囲気はまるで別物だ・・・・

辰馬の後ろを歩き、俺の隣に腰を下ろすと、直ぐにきゅぅっと袖を掴み込んでくる




「あ----大丈夫だって---コイツは俺の知り合いだから」
「ほおぉおおお---っちっくと傷付いたぜよ---金時ぃ・・・・・其処はせめて、知人とか仲間ば言う説明しゆうとこじゃろ」
「ああ?---だったらお前の間違った呼び名が、どんだけ俺の傷を深めてるのかも推し量れよ---」
「あはははっあはははっ」
「あははじゃねぇよ」




俺達の会話を不思議そうに----そして、不安げにも見つめてる十四郎は----聞くまでもなく、辰馬を認識しちゃいないのだと解かる

けど、-----念の為「なぁ、十四郎----コイツの事知ってる?」と聞いてみた




ふるふる----・・・・


マジで、即答に近い感じで首を横に振られて、それを見て辰馬が哀しげな顔を浮べた




「ほぉ----なんじゃぁ・・・・これまた傷付くのぅ・・・・・」
「ぁっ----っぅ・・・・・と、御免----なさい」
「は----いやいや、詫びは要らん」

こんなにも素直に謝る十四郎を・・・・俺は知らない・・・・・


でも----解からない・・・・

何もかもが知らない色をしちまってんだから----そんな中から確信を得るなんて事自体が不可能に思えてくる



他愛もない会話ですら、心が痛くて、そんな俺を察したのか-----辰馬が直ぐに提案を寄越してきた




「早速じゃ-----金時ぃ刀ば渡してみたらどうじゃ?」
「-----っ---あ・・・・ああ」

十四郎へと向き直って、立てかけておいた刀を差し出してやれば、十四郎の顔が怪訝なものに変わる





でも直ぐに解かった

この刀すら、認識出来ていないのだと


お前のだ----と申し添えたところでまるっきり理解出来ないだろうと解かるから-----其処に関しちゃ言及するのを辞めた



寧ろ、混乱されて、取り乱す姿は見たくない
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