BASARA魂【短編】銀&BSRA
□禁じられた関係シリーズ※R18
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そう思ったら勝手にはぁと溜息が零れていて---それに気が付いた辰馬がちろりと振り返った
「ん?政宗君どうかしたがか?」
「ha---どうかしたがか?じゃねぇだろ・・・妙な演技してんじゃねぇって・・・・うちの小十郎は素直なんだから」
「あははっ!---バレちょったか」
「ベタだろベタ!騙された小十郎の方がレアだっ!ま---別に俺はいいけど」
「楽しみじゃのぅ---まっこと一緒に呑みたかったんじゃァ」
「ok---折角だ・・・楽しもうぜ」
そして---
思っていた以上に・・・盛り上がって・・・
あんなに仲の悪かった二人が---楽しそうに酒を煽っていた
「おめぇなかなか解る奴じゃねぇか・・・もじゃ頭の割りに」
「あははっ!あは!そうじゃろ?わしはこう見えて---結構理解力のあるもじゃ頭なんじゃぁ!」
小十郎の名前は覚えねぇけどな
っつか理解力のあるもじゃ頭って何それ?
逆にそれのねぇもじゃ頭とか色々あるわけ?
何はともあれ・・・
不仲だった二人が楽しそうに会話している姿は、まぁ見ていて悪いもんじゃない
今後も色々と接点があるだろうしその度にいちいち喧嘩されても堪らねぇからな・・・
結局少しだけだと言って始まったこの酒宴
気が付けば一升瓶が4本空いた状態で並んでいた
「いや--全く小姑さんの作るつまみは何を食べてもいけるのぉ!」
「ん?そうか・・・そう言って貰えると作った甲斐ってもんがあるな」
「わしは全く料理出来んからのぅ、てき凄いと思うわ」
地味に話せは解る奴って感じ?
まだまだ終りそうにない会話を分断するのもあれだし・・・その場に二人を残して先に風呂にでも入ろうと思った
立ち上がる俺を見るなり小十郎が顔を上げる
「政宗様?」
「ん?ああ・・ちろっと風呂に入ってくるから、ゆっくり呑んでろ」
にこりと笑う俺の表情を見るなり少しだけ複雑そうな顔つきに変わった
「----風呂」
ぽつりと呟いたそれは・・・辰馬という危険人物が居るのに?といった怪訝なもので---その意図が直ぐに解っちまったから安心させるように口元を緩める
「ah--お前が此処に居るんだから大丈夫だろ?Ok?」
「あ---はい。勿論です」
「ん、じゃぁ行って来る」
後ろから辰馬の浮ついた声が聞こえてきたが気にせずそのままバスルームへと身を進めた
着流しを脱ぎ捨てると身体がほんのり朱に染まっているのが解る
少なくとも俺や小十郎の酒に付き合えるヤロウはそうそうにいない・・・
辰馬ってそんなに酒強かったのか・・・
シャワーを頭上から思い切り被ると一気にすっきりとした感じに満たされる
「ha---気持ちいい・・・」
手早く全身を洗い上げて・・・湯船に身を沈めるとさっきまでの軽い酩酊が程よく溶けちまった
足を存分に延ばしても余裕のあるこの浴槽の淵に腕を乗せてぼんやりとリビングに居る二人の事を考える
気が合ってんだか・・・
合ってねぇんだか・・・わかんねぇ
でもまぁ---・・・
小十郎の面を真正面に見ながらあれだけ言い合い出来るヤロウってのもそうそう居ない、よな
会話になってないから出来る所業かも知れねぇけど
どちらにせよ・・・・
俺を肴にして盛り上がるのだけはマジ止めて欲しかったりする・・・
あの---あれだ・・・
紅達の時の酒宴みてぇなあの感じ--・・・
恥ずかしい事極まりねぇ
「はぁ・・・・・」
自然と深く溜息が零れてはいたが--別に憂慮とか落胆ってもんでもねぇんだ・・・
ある意味---
気持ちも身体も存分にラフな状態で気が抜けるってゆぅか---・・・・
小十郎にはもっと気楽な時間を過ごさせてやりてぇんだ--
俺以外との時間ってのも
辰馬も辰馬で---あんな感じに見えてかなり人の内面を見通す目を持っていて---周りの憂いを望みもしてねぇのに察してる節がある
全くおくびにも出さない態度を貫き通しているのが解かるから---たまにはそんなの抜きにして楽しんでくれればと思ったんだ
そう考えてみれば---
うちの小十郎と気が合うのは当然の結果だ・・・
強いて言えば・・・俺に執着しなければ・・・・だが
だって---俺は小十郎を愛している
と言うよりも小十郎には全てを捧げてもいい・・アイツも俺に全てをくれたから
「ん---俺・・・何考えてんだ?」
ポツリと呟いた言葉は浴室に反響して不思議な感覚に陥った
兎にも角にも----
小十郎と辰馬が仲良くなってくれればそれでいいか---
そうだ----
この時はそれでいいと思っていたんだ・・・
まさか----こんな事になるなんて思っても居なかったから---・・・・