BASARA魂【短編】銀&BSRA

□【双竜至純録】
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あれは----



政宗様が少年から---青年へと変わるくらいの頃だろう


雪の舞い散る季節で----・・・身を切る寒さの中----互いの肌で暖めあった記憶を懐かしく思う




俺は---
幼少の頃から政宗様の小姓として仕えて日に日に成長なさる御姿を傍らで離れる事なく見守り続けていた



幼き頃から---

綺麗な体躯と----大人をも魅了なさる笑みを浮かべるこのお方に-----・・・・・初めて自身の欲に気がつく




俺は----・・・
付き従うと言う清廉な想いではない違う情を持ち合わせ居るのだと






「ah----小十郎っ!手合わせしろっ!」
「---はい」




それを飲み込み---いつもの柔和な笑みを浮かべて剣を交えていた




この---腕に響く剣撃




もう--
俺が教える事など何もないと思わせる



邪な想い等----直ぐに薙ぎ払われて----その手から木刀が滑り落ちると直ぐに大人びた笑みを寄越してきた




「ha----小十郎っ----俺の腕もなかなか骨の折れるもんになっただろ?」
「---くす----はい・・・・見事な御手前です」



あの小さかった梵天丸様が---こうにまで成長なさった御姿は----万感に思える


小さな体を震わせて------膝を抱えて泣いていらっしゃったあの頃を自らの手で切り拓いた姿に堪らない想いが募って仕方ない




しかし---・・・・・






俺のこの想いは悟られてはいけない



この綺麗なお方にどんな、卑猥な想いを滾らせたとしても-----それを表立って表現する事などあってはならない


俺は----・・・・・
その一線を越えてはならない存在なのだ



「政宗様---良い一刀でございました」
「お--。それもこれも全部----小十郎のお陰、だな?」




ドクン----っ



その時の妖麗な微笑とでも言うのか・・・・・誘うような----堪らない笑いは俺の欲の枷を------無造作に撫ぜ上げていた






ダメっ-----だ・・・・

圧し込めろっ





眼を逸らして----地に横たわる木刀を拾うふりをして距離を保つ俺を---不思議と思っただろうか?



極自然な----振る舞いだったと思って欲しい


この淫らな想いに----気がつかないでくれ・・・・・



作り笑い---と言うものは---不得手であるが・・・・それを浮べて、主に声を掛ける




「政宗様---身体が冷えてしまいます--今日はこの位にして湯汲みを」
「---あ・・・・そ、だな・・・・」


ぼんやりと蒼天を見上げる姿に----見惚れる俺が居た



雪---こそ・・・・舞い降りていないが・・・・・冷える空気を言われて実感したという感じで---自らの腕を抱き込むそのお姿がとても綺麗で-----堪らない感情に胸が焼かれる






抱きたい----っ




そう思った・・・・








だからこそ----
この場から---早く主を遠ざけねばならないと-----思う



俺の邪な劣情で----綺麗な主を穢す訳にはいかない




静かに立ち----主の肩に手を添えて-----直ぐに背を押してやる


顔を見られたくなかったから・・・・・







「さぁ----風邪など召されては困ります・・・・・」
「ah----解かったって---」






後ろ手に---政宗様の木刀を取ってやって・・・・身を離すと--廊下のその曲がり角で・・・・くるりと振り返った主の言葉に----愕然とした





「小十郎----背を流せ」
「っ!-----・・・・はい」






否定など----出来なかった

その行為は----幼き頃から続けてきた事であって---何一つ変な進言ではないからだ


でも---
今の俺にとってみれば・・・・拷問にも思える・・・・








俺は----抑えきれるの、か?
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