BASARA魂【短編】銀&BSRA

□【Summer Vacation】※R18
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〔序章〕



「ああ?夏休み?何言ってんだ・・・お前ぁ」



正直、またこいつの酔狂が始まったと思った

真夏の日差しが容赦なく照り付ける時分に屯所にふらりと現れた銀糸は満面の笑みを浮かべて、襖を開け放つと同時に俺の手をがしりと掴み込む





「何もあそこもねぇってっ!夏休みだよ!夏休みっ!政宗君風に言えばっSummer Vacationなっ」
「いやいや、意味の講釈を求めてんじゃねぇって、そんな時間ある訳ねぇだろ?」




殺風景な俺の部屋は世辞にも涼しいとは言えずに、額から汗がたらりと伝い落ちる

流石に、隊服のジャケットは脱いでいるものの暑いもんは暑いし、銀時が告げた単語に刹那、心を奪われたのも事実だ


激務をこなしている毎日じゃぁねぇが・・・かと言って休みを満喫出来る様な時間がある訳でもない




煩雑な隊務にあれこれと時間を割かれて、悠長に過ごせる身体の持ち合わせなど、何処の引き出し開けてみても見つかりっこない





それでも、目の前でさらさらと銀糸を揺らして、透き通る紅色の瞳を魅せるコイツを見ているだけで気持ちは満たされる



それだけも十分足る充足に思えてた・・・・が、ひしと攻め寄ってくるコイツの必死さには驚いた







「なぁ大丈夫だってっ今回はお前だけが抜ける訳じゃねぇからっ!護衛だから!護衛っ」
「は?何それ・・・意味解んねぇ、けど」





この期に及んで護衛などと口に出してくるから、ますます訝しげな表情になっちまう


先般の井伊直尚の凶事以降、そんな類の命は下っちゃいないし、不穏な動きも見えない


なのに・・・・何?






「ああ?十四郎、お前現パロにやられて、当初の設定忘れちまったのか?なぁ」




大きな手で頬を包み込んで、じぃいっと覗き込んでくる紅色は綺麗過ぎて・・・・・心臓がトクンと鳴いた



「あ、のな----設定とかそゆこれまた、意味の解らない言葉出してくるんじゃねぇ・・!んっ」




不意に奪われた唇に言葉も、今の状況も見失っちまって、視界一杯に見える銀糸に心奪われる

胡坐をかいた状態の俺の上に、少しだけ覆いかぶさるような体勢で寄越されたキスは、常なのにいつもざわざわしちまうんだ




ゆっくりと離された温もりに目を細めていたら、ふっと口元を緩めたまま額をコツンを押し付けてくる







「政宗君達が今回海に行くんだとぉ---俺たちも行かねぇと、な?依頼は継続中だから」
「-----ぁ・・・」






此度の終焉のない依頼内容は奥州双竜の護衛・・・・



まぁ今となってみればあの二人に、んなもんは必要ねぇと言えるんだが・・・・

寧ろ、俺たちの方が妙妙な連中に付きまとわれて、あいつ等を巻き込んでいる感が否めない




こんな至近距離で、目を伏せた俺の髪をそっと指に絡ませて、ちぅと額に唇を押し当ててくる


先般の夢みたいな祝福以降・・・・銀時は甘い行動ばかりしてきやがるっ・・・・






こんなにまめなヤロウだったとか知らなかったし・・・公認の仲になったのをいい事に屯所にも馳せ参じてくるようになった



俺も俺で、それを制止もしねぇが・・・・・





なんとも気恥ずかしいのだけは変わりようのない事実だ



例の如く、こんな場所に好き好んで乱入してくるヤロウが居る事も相変わらずだ・・・・







「早くして下せぇ、いつまで待たせるつもりでさぁ、新婚バカ」
「っ誰がだっ!!!」


ほら、な?来ただろ?


「あれれ?可笑しな事言うんですねェ・・・お天道さんも煌々と照り付ける時分に屯所の一室で夫婦睦まじくしてる姿は

どっからどうみても訓練してるようにも、仕事してるようにも見えねぇんですけどねぇ・・・

あれですかぃ?3D眼鏡とか掛けたら、映像変わって見えるんですかぃ?」
「っぐ----・・・テメェぇええぇは・・・・」






どんなに時が移ろい往くとしても、こいつの饒舌だけは達者になっていくのだろうと思った・・・・・



奥歯をぎりぎりと鳴らしつつ・・・・ふと、総悟の風体に目が止まる



「あ?総悟、お前ぁ何?その格好」
「へ?---何って・・・至って普通の佇まいかと思いやすけど?」
「普通じゃねぇだろ・・・・休みじゃねぇし、平日にTシャツとか通常とは言わねぇ」
「そうですかぃ?じゃぁYシャツにしやすか」
「アルファベットに拘ってる訳じゃねぇっ!」






等と、総悟とやりとりをしていたら、銀時が俺の隊服を脱がし始めた





「ちょ!!お前は何してんだッツ?!!」
「あ?何って・・・早く着替えろって---まさかこの炎天下に真っ黒な隊服は自殺行為だろ」
「いやいやいや・・・そうじゃなくてっ---っ!!!」





あれよあれよとベストも剥ぎ取られて、ブラウスも肌蹴て半裸の状態の時、「副長っおぉおおおお!」とこれまた、またかと思う怒号が聞こえてきた

ラフな格好でニヤニヤしてる総悟の隣に陣取り、乱れた俺の状態と、それをしたであろう銀時を見つめて時間が止まる





「って----、あんた等ぁああ何してんですかぁああああ!!!!!」
「ちげぇええええ!!!!」




どうして・・・こうも人の話に耳を貸さない連中ばかりなんだっよっ




俺にも言葉をっ!質問を!投げさせろっ!!





「銀時っ!!テメェっは----っ!ちったぁぁ俺の状況ってもんも考えろっ!!」
「ん---もうさ、いいじゃんっ---ほらぁ政宗君も待ってるからさぁ、早く脱いでよ」
「あ、のなぁああああ!!!なんで俺がこんな大勢の前で脱がなきゃならねぇんだよっ!!!」





一先ず、疑問は絶える事なんかねぇんだけど、この巧みに脱がし続ける手だけは止めたいっ

まぁ、もう既に上半身は剥かれて、ベルトに手を添えた状態なんだけども・・・・



「土方さん、二人きりにしたら何し始めるか、解ったもんじゃねぇでしょ?約束も何もかも反古しちまうあんた等だ」
「っく----・・・・」






それに関しちゃ流石に二の句が告げない・・・








前例が遠くない過去にあり過ぎて-----・・・










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