BASARA魂【長編】『fifth S』

□【小噺H2014銀時ハピバ】
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あ---・・・


もう嫌だよ
まただよ

毎年恒例だよ

この時期ってばさ、なんなの?なんな訳?
俺になんか恨みでもあるの?

おかしいだろ・・・?

世間一般的には10月って閑散期ってやつでさ、売上とか購買意欲とかが低迷するってのにさぁ・・・どうしてアイツの抱えるもんってのはそれに沿った動きをしてくれない訳?

そりゃぁさ・・・比較対象は可笑しいかもだけど・・・毎年毎年この時期に限り時間ねぇとか?

何?期間限定の多忙とか・・・・要らない、そゆのやってない
俺の中では扱いのないアイテムです、永久に欠品してもいいのに・・・・例の如くあの悪魔に連れ去られるわけだ

松永さんって言う----極悪非道の黒の塊みてぇな人に

あれだよ・・・クレヨンの黒みたいに全ての色をも塗り替えられるほどの影響力持った人に----俺の可愛い可愛い、マイスウィートハニィー土方君が染められそうで怖い・・・

馬鹿な事言ってんじゃねぇっていつも言われるけども、逆に返せばさ、いつもそゆ恵まれない状況に置かれてる俺の気持ちってもんも考えてほしい

いやいや、あれだよ?俺だって---暇暇してるわけじゃないから・・・どちらかと言えば多忙なほうだし、時間帯的には深夜に動く方が多いし、細やかな気遣いってもんが問われる重要なポジションだって自負してもいい・・・

うん・・・そこは褒めてほしい

かと言って、俺も餓鬼じゃねぇから・・・自分の業績に対する評価を希求する人間じゃない
そゆもんはさ、周りの人間からの暗黙の信頼ってもんに成り代わってるはずだから


な?俺って結構まじめだろ?
って・・・違う違う・・・・こゆ話したいんじゃない




「はぁ-----・・・」

っつぅかさ・・・これまたなんでこの日ってば、時間が空いてるわけ?
嬉しいけど、なんか悲しい・・・・

10月10日・・・・
この単語が指し示す意味って解る?解るよね?

昔はさ、大して何も感じてなかったけど、近年は特別な日なんだって思えるようになったんだ・・・まぁそれが皮肉にも虚しさまでくっついて来ちゃって---

要らない・・・そゆのを押し付けサービスってんだよ・・・

幸せってもんを感じられるならば、それだけでいいんだ----・・・

逢えない時間が愛育てるとか体の良い言い訳だって----俺の欲求不満まで育てちまってるし・・・心の隙間だって、もう隙間レベルじゃねぇしぃ・・・空き地レベルだ



だから、いつも・・・よくない方向に物事を考えてはあらぬ妄想に耽っちまう
松永さんの黒の影響力ってもんはマジっぱない・・・・・




なぁ・・・土方・・・・俺の事、本当に好きか?

今日、何の日か知ってる?
グー○ル検索でも結構出てくるくらいメジャーな日だよ?

そっけない感じと・・・・それを丸ごと否定するような妖麗な態度・・・そのギャップに悩む俺
正確には惚れ込んじまってる俺だけど・・・

いつまでも心の安堵は得られないから・・・いつしか関係性のエンドを考えてる・・・いやいや、上手くねぇし・・・






「はぁあ--------・・・・・」



去年もこんな感じだった気がする

一昨年もこんな感じだった気がする

好きになってからずっとこんな感じだった気がする







広すぎる空間と広すぎるベッド・・・

そして穏やか過ぎる植物達といつまでも変わらない蒼い薔薇
心の腐りきった俺・・・・



「ああああああ-----・・・・こんな想いするくらいなら・・・俺の方がこの時期、多忙になりてぇよ・・・・土方が休みの方がいいだろ・・・・」

どんなに一人で喋ったって他聞をはばかる事はない

どうしてか解らないが、俺以外は皆さん仕事で此処には居ないから

松永さんはいつものように不敵な笑みと不遜な態度のまま土方を連れて出かけていった
事務所を出るときになんとなく聞こえた会話・・・

『今日の相手は少々、扱いが難しいが大丈夫だろう・・・・彼奴の饒舌の裏、----澱んだ野心の裏は容易く見抜けるだろう----卿ならば』
『ああ?なんでだよ・・・』

もうさ、ソファーから見るには少し距離あるんだけどさ、こっからでも解る
俺の土方はきょとんとした顔してた





可愛いに違いない・・・・
くっそ・・・・目は良い方だけども、少し遠いからきっちりと見えない・・・・

それを間近で見られる松永さんがすごくうらやましい・・・・
いやいや・・・・羨んではいけない・・・・あの人は憎むべき対象だ

そりゃ感謝はしきれないほどだけど
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