短編(SD)

□寄り道
1ページ/3ページ


何事にも興味の薄い流川は、何かに燃えたり執着したりすることが極端に少なかった。

そんな流川も、バスケだけは別で。
学校へ行くことの楽しみと言ったら、放課後の部活くらいだった。

でも最近は、もう一つ、楽しみが出来た。

『流川ー、帰ろうぜ!』
『ウス…』

それは、三井と一緒に帰るこの時間。
その時間だけは楽しくて。

それは、興味、関心の薄い流川には至極稀な事であって、流川自身、内心驚いていた程だ。


いつものように三井を後ろに乗せ、自転車を走らせる。

季節は秋。

初めて三井を後ろに乗せてから、だいぶ時間が過ぎた。

秋とは言え、暗くなった夜はかなり寒い。
そう思っていると、三井が話し掛けてきた。

『流川、ちょっと止まれ』
『?』

何かと思ったが、流川は黙って自転車を止める。
『ちょっと待ってろよ』と言って、三井は何処かへ走って行ってしまった。
一人取り残された流川は、仕方なく寒い中三井を待っていた。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ