短編(SD)
□三井の不運な1日
2ページ/3ページ
『流川!?』
『……先輩?』
今話題の中心となっている流川だった。
『丁度いい…』
仙道は流川を見ると、ニヤリと不敵に笑い近づく。
『流川、俺と勝負しろよ』
『勝負?』
その一言で、流川の目の色が変わった。
仙道との勝負に燃えている目だ。
『いいじゃねーか、受けてや『じゃーんけーんポン!!』!??』
突然始まったジャンケンに、当然流川の反応は遅れた。
挙げた手をそのままにして
流川→グー
仙道→パー
『悪いな…俺の勝ちだ』
『は?』
流川は訳が分からないというように仙道を睨み付ける。
しかし、仙道はいつもの笑みを崩さない。
むしろ、いっそう楽しそうに見える。
『なぁ、お前ら本当何がしたいんだよ!?』
藤真はよくぞ聞いてくれた、とばかりに大袈裟に両手を広げてみせる。
『それはだな三井。
俺らは今まさに男としての真価を問われているんだ!』
『はぁ?』
『簡単に言うと、お前を賭けてバトってる』
『何やってんだよ!?オメーら!!!』
三井の言うことは最もだった。
男が男を賭けて戦い、何が楽しいというのだろうか。
全く理解しがたい。
『最も恐れていた流川はもう消えた!
これで勝利は俺の手の中だ!!』
高らかに笑う藤真を、三井は冷たい目で、流川は怒りの満ちた目で見る。
『どあほう。俺は負けてねぇ』
『馬鹿め流川。お前は仙道に負けた。
よってこの勝負に参加する資格はない!』
威圧的に言う藤真に、しかし流川は怯まない。
『どあほう。そんなの関係ねー。先輩は俺んだ』
『それは聞き捨てならないな』
今まで黙っていた牧が流川を睨み付ける。
『三井はお前のじゃない。俺のだ』
『いや、俺のだ!』
藤真が続けて言う。
『俺にもまだチャンスはありますよね?
だって流川に勝ったしWW』
『どあほう。俺んだ』
言い合っている彼らは、またジャンケンで勝負を決めている。
てかオメーら、人を賭けてんのにジャンケンなんかで決めんなよ!!
俺は馬鹿共が争っているうちに、木暮に一言いって部活を出ていった。
その後、あいつらが遅れてやって来た赤木にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。
‡end‡