短編(SD)
□寄り道
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何事にも興味の薄い流川は、何かに燃えたり執着したりすることが極端に少なかった。
そんな流川も、バスケだけは別で。
学校へ行くことの楽しみと言ったら、放課後の部活くらいだった。
でも最近は、もう一つ、楽しみが出来た。
『流川ー、帰ろうぜ!』
『ウス…』
それは、三井と一緒に帰るこの時間。
その時間だけは楽しくて。
それは、興味、関心の薄い流川には至極稀な事であって、流川自身、内心驚いていた程だ。
いつものように三井を後ろに乗せ、自転車を走らせる。
季節は秋。
初めて三井を後ろに乗せてから、だいぶ時間が過ぎた。
秋とは言え、暗くなった夜はかなり寒い。
そう思っていると、三井が話し掛けてきた。
『流川、ちょっと止まれ』
『?』
何かと思ったが、流川は黙って自転車を止める。
『ちょっと待ってろよ』と言って、三井は何処かへ走って行ってしまった。
一人取り残された流川は、仕方なく寒い中三井を待っていた。
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