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□君のいる日常 37
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俺らは空港で揉めとります。
あ、俺らってのは俺と跡部な。

「別に俺らはエコノミーでええ言うてるやろ」
「俺が嫌なんだよ」
「お前なんか知らんがな」
「差額は俺が払うって言ってんだからいいだろうが」
「エコノミーでええのに、お前に借りを作りたくない」
「つまんねえこと言うんじゃねえ」
「つまらなくないで。重要なことや」
「水月だってビジネスの方が楽でいいだろ」
「そこで水月を持ち出すんは卑怯と言うものや」

ようするに、俺と水月はエコノミーでええ言うてるんに、おぼっちゃま跡部がそんなのは嫌や言うてごねてる訳や。
なんで飛行機乗るかって?
由衣ちゃんの試合やねん。
世界選手権が今年はフランスなんやて。
アメリカはあかんかったけどな、今回はもう学校もないから正々堂々と一緒に行くねん。
もちろん水月もおるんやけど、今ちょっと買い物行っとる。
たぶんきのこの山を買ってくるんや思う。
昨日買っとったのに、まだいるんかな。
あんなに食べてよう飽きん思うわ。

「なにケンカしてるの?」
「跡部がエコノミーは嫌やとかわがまま言ってるんや」
「わがままじゃねえ」
「エコノミーで平気だよ、私」
「ほら見ろ。どうしてもって言うならお前だけビジネスに替えればええやないかい」
「うん、そうだよ。お金もったいないし」
「俺らは庶民やからエコノミーで十分やの」
「じゃあ、先輩はビジネスにすればいいんじゃない。あっ、」
「なに?」
「もしかして・・・先輩、ひとりじゃ乗れないの?」
「そうか、そうなんか?」
「そんなんじゃねえっ」
「そうなんやなぁ。うん、ならビジネスにしてやってもええで」
「なんでそうなるんだよっ」
「嫌ならええけどな、水月?俺らは最初っからエコノミーで行くつもりなんやし」
「うんっ」
「・・・・・とにかくビジネスにしろっ」
「ま、おぼっちゃまがひとりじゃ嫌や言うんじゃしゃーないからそうしたげるわ」
「おま、えっ・・・覚えとけよっ!」
「うん、先輩がひとりじゃ乗れないって覚えとく〜」
「てめ、水月っ」
「なぁ、まだ時間あるんやろ?お茶でもせえへん?」
「する〜、お茶する〜」
「しろよ、勝手に」
「なら、行こか」
「じゃね、先輩っ」
「なんで俺を置いてくんだよっ」
「ひとりが嫌なら素直になってね、先輩」
「お前、ホントに、」
「はいはい、行きますよ〜。先輩」


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