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□君のいる日常 45
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最近水月の腕にブレスレットがひとつ増えた。
水月の華奢な手首によく似合う細いチェーンのブレスレット。
ピンクゴールドでダイヤが一粒きらっと光ってる。

「侑士からもらっちゃった〜」

って、誕生日の翌日に見せてくれた。
なんでも今年は先輩に「誕生日に何がほしい?」って聞かれたんだとか。
それで「今年もブレスレットがいい」って答えたんだって。
どんだけブレスレットが好きなのよ、って思ったら「これから毎年ブレスレットがいいな、って言ったんだ」だって。
はいはい、そうですかそうですか。
これから毎年もらってじゃらじゃらと増やしていく訳ね〜、なんて意地悪は言わないけど。
それにしても、先輩ってこういうの本当にセンスがいい。
去年のとまるでセットみたいだし、それより何より、水月にほんっとうに似合ってる。
嫌い嫌いと言いながら最近やけに先輩に影響されてる若も、こういうところを影響されてほしいもんだわ。
それにしても、水月が自分のほしい物を言えるようになるなんて。
ホント、思ってもいなかった。
友達冥利に尽きるって言うか、感動すら覚えちゃうな。
人の気持ちとかを先回りして考え過ぎちゃって自分の気持ちを言うことができなくて。
いつもいつも頭の中でぐるぐるぐるぐる回っちゃってた水月。
周りから見るともどかしいと言うか、悪く言えばめんどくさい子だって思われてて。
でも、私も若もそんな水月が好きで、そして心配で。
それが今では大好きな人となんだか幸せ街道まっしぐらなんだもんなあ。
嬉しいそうな寂しいような。
もっとも先輩に言わせると、先輩ですらまだ私にはかなわないらしいんだけど。
確かにそれも一理あるかな。
この間の決勝の時も「うるさいっ」みたいな感じで振り払われてたし。
それでもね〜、試合してる私からも見えるほどラブラブだったけどね。
だって先輩ってばずうっと水月の世話してるんだもん。
水を渡したり、タオルで汗拭いたりまでしてた。
試合してるってのに、こっちが笑っちゃいそうで困った。
由衣ちゃんはそれ見てなんだか羨ましそうだったりしてたのよね。
あ、でもあの後、由衣ちゃんから「侑士くんからのアドバイス」とか言ってメールが来たんだった。
ありがたく読ませていただきました。
ついでにちょっとばかり実践中だったりしてる。
確かに、私とか由衣ちゃんは強すぎるのかもしれないから。
でもね〜、大きさが違いすぎるのよ、大きさが。
こっちは身長170だもん。
水月と同じことして、それが果たして可愛いのか???という疑問は常についてくる。
ただ、ちょこっと実践してみたところ、若は十分嬉しそうだったからいいのかもしれないな。
さすが忍足先輩、年期が違うってとこかな。


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