Belphegor
□カモミール
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彼が直接触れてくるなんて初めてのことで、緊張して固まって動けない。
かれこれ数十分、せっかく淹れたハーブティーはとっくに冷めてしまった。
「なんで目合わしてくんないの。オレのこと嫌い?もしかしてメデューサとか?」
そう意地悪く笑う彼に必死で首を横に振る。
違うんです。ただ大好きなあなたに触れられて錯覚をおこした脳がついてきてくれなくて、心臓が苦しいんです。
ほんとうは愛おしいです。
「アヤ」
「あ、う…」
触れそうで触れない唇はまた離れて、代わりに指でそれをなぞられる。
脈が大きく振れて、きっとばれてる。
「どっちかってゆーと白雪姫ばりのかわいさ」
「ベル、さ…」
「石になってもいいよ」
「やぁっ…」
耳を弄るようにして顔を寄せられる。
「ちゅーしたい」
王子様のキスで窒息死
きっと目を合わせたころには死んでいる。
2012.05.21/想像フォレスト *