Belphegor

かにばりずむ
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いきなり突き飛ばされて、状況が飲み込めないうちに壁に押し付けられる。ベッドの上。

まだお付き合いしていないのに、なんて恥らいはことごとく裏切られて
首元のナイフの冷たさに目がさめる。


わたし、殺されちゃうんですか?


怖くても目を逸らすことができないのは
あなたのことが好きだから。





「かわいい」





そういって噛みつかれた唇からは鉄の味がする。

オレのこと本当に好き?って声に頷くと、彼は無邪気な笑顔で自身の親指にナイフをあてがった。





「赤が似合う」





じくじく痛むそこに彼の親指が押し付けられて、二人の色が混ざる。

こんなに好きなのに、いつもの彼とどこが違うのかを言い当てることはできない。
ただ、前髪越しに見えた瞳の色がいつもと違ったような気がした。

気がつけば唇の痛みは甘い痺れに変わり、やがて全身が眠気にも似た無気力感に襲われた。





「かわいいよアヤ。食べたいくらい」





痺れた脳みそにはその言葉に隠された意味が分かるはずもなく、ただ頬を滑る彼の冷たい指が心地よくて。




狼さんの大好物




狼みたいな王子さまに身を任せて目を閉じた。



2014.02.11/どくどくでぞくぞくなベルさん。


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