Belphegor

time traveler
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突然目の前が煙に包まれて思わず咳き込む。
火事?事故?一体なにが起きたの?

ぎゅっと瞑っていた目蓋を恐る恐る開けると、





「…アヤ?」





驚いた表情のふわふわ金髪お兄さんがいた。
前髪が長くて目はよく見えないけど。





「ど、どなたですか!?どうして私の名前、というか…ここどこですか…?」

「それはこっちの台詞だし。なんでガキに戻ってんだよ」





ガキに戻る?どういう意味?

そうだ、確か学校帰りに公園の前で牛柄の服を着た男の子とぶつかってそれで…
どうしてここに…?





「あー…もしかしてボヴィーノの10年バズーカってやつ?」





ボヴィーノ?バズーカ?
知らない単語が頭の中をぐるぐる回る。

そして知らない部屋に、目の前には知らない男のひと。





「もしかして、誘拐…」

「いやいや落ち着けってアヤ、オレ。ベルフェゴール」

「ベルフェゴールさん…?」

「あり?」

「わたし外国人の知り合いなんていないと思います…」

「…あ、そっか、10年前の今頃はまだぎり会ってねえよな」





10年前がなんたらかんたら。
何を言っているのかよく分からない。

うーん、夢にしてはリアルだし…


とりあえず、このやたらと日本語が上手なお兄さんはベルフェゴールさんという人らしい。





「あの、ベルフェゴールさん」

「ベルでいいよ」

「ベル、さん」

「なに?」

「ここは一体…」

「オレの部屋」





そう言われた途端、あちこち見まわしていた自分が恥ずかしくなった。
というのも、ちょっと散らかっているなあなんて失礼なことを頭の隅で考え始めていたから。

なぜベルさんのお部屋にいるのかは謎だけど。





「どうして私の名前知ってるんですか?」

「んー…知ってんのは名前だけじゃねーぜ。しし」





またもや意味深な発言。
ひょっとしなくても、からかわれてる?

悪いひとでは無さそうだけど、笑顔があやしい。





「あの、私はどうしてここにいるんですか?」

「さあな。オレの記憶ではずっとここにいたと思うけど」

「ずっとって…」

「まあ少なくとも3年はいる」





確実にからかわれてる…

その後も私の置かれた状況について、ベルさんについて、
いろいろ聞いてみたけどはぐらかされてしまった。

分かったことは、ベルさんが王子さまだってこと、26歳だってこと。
なんだか相当変わったひとだなあ。


見てわかることは、髪の毛が金髪でふわふわで、お部屋が汚いってこと。

それと左手の指輪。

恐らくこのひとは結婚している。
もしくは彼女?

なんて考えていると、軽い目眩いにおそわれた。





「うっ、なにこれ…きもちわるい…」

「もう時間か」


「またな」





え、なんですか?
そう聞き返そうとした時にはもう意識が離れていた。





ここは…もとの公園?

しりもちをついたみたいに、少しおしりが痛い。
もしかして、転んで頭を打って倒れて…やっぱり夢だったんだ。





「うわ、おねーさんがガキになった」





突然の声に驚いて振り返ると、歳の近そうなさらさら金髪の男の子が立っていた。
顔は前髪でよく見えないけど…外国人?

だから、ガキになるってなんなの!





「なあ、今のどうやったの?手品?」

「え?」

「なにかタネがあんだろ」

「わっちょ、痛い痛い!」





容赦なく頬をつねられる。
初対面なのに、信じられない…。





「なにするんですか!?」

「手品じゃねえの?となると、ボヴィーノとか?ししっ」

「えっ」





ボヴィーノ…?
確かさっきもそんなこと…





「ま、いいや。じゃあな」

「ちょっと待ってください!ボヴィーノってなんですか!?」

「うわ、ついてくんな」

「お願い、教えて!」




10年越しの答えあわせ




「昔のベルに会ってきたよ」
「ふーん」
「今よりかわいかった」
「うっせ」



2015.03.02


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