twilight1

□黄昏のクリームパン
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城下町へやってきたリンクは無意識にお腹をさすっていた。
そういえば朝も昼も大した物を食べていない。
「腹減ったな…。パンでも買うか。」
小声で呟いてみてもミドナは出てこなかった。


城下町南の市場でパンを物色中。
リンクは店に並べられた色々なパンを眺めている。
「これ、何ですか?」
指差したパンを見て店員はにっこり微笑んだ。
「さっき焼けたばかりのクリームパンです。」
クリームパン!美味そう!ミドナも食べるかな?
「じゃあこれ、二つ。」
「ありがとうございまーす!」
まだ温かいパンを袋に入れてもらい、リンクはカフェに向かう。
紅茶を水筒に入れてもらい、南門から外へ出た。


夕日が沈もうとしている。
もうこんな時間だったのか、とリンクは驚く。
石段に座り、紅茶とパンを置いた。
「ミドナ。」
そう声を掛けると足元の影からミドナが飛び出してきた。
『どうした?』
「どうした、じゃなくて。」
リンクはパンをミドナに渡した。
それをじっと見つめ、ミドナは首を傾げた。
『食べろって?』
「嫌い?」
ミドナはパンを受け取り、真ん中から二つに割った。
『クリームパン。』
「うん。好きかなー、って思って。」
ミドナはリンクの隣に座る。
そしてパンを一口。
『美味い。』
「よかった。」
やっと安心できたリンクは自分も同じように二つに割り、食べ始める。
ミドナはぼーっと空を見ていた。
夕方の、オレンジ色の黄昏の空を。
リンクはそんな横顔を見つめている。
するとミドナは視線に気づき、リンクを見た。
『…あ、どうかしたのか?』
何も考えていなかったリンクは素早く視線を逸らす。
「いや…、それ、美味しそうだなーって。」
『同じ物を食べてるじゃないか。』
眉を寄せるミドナ。
また訳の解らない事を言い出した、と身構える。
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