dark

□lost 2
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平日の朝、ミツルが朝食の準備していると晶妃がきょろきょろと何かを探しながらリビングへ入ってきた。
制服に着替え、学校へ行く支度は済んでいるらしい。
そしてまだ顔を見せないダークを探しているようだ。
「ダークは?」
「ん?まだ起きてこないか?」
「…珍しいね。」
ミツルはふと昨晩のダークの様子を思い出す。
「昨日は…、時オカの攻略本を読んでたみたいだったけど。」
その言葉に晶妃は目を見開いた。
「ハイラルが恋しくなったんじゃ…!」
しかしそれを止める権利は無い。
…ダークの暮らしていた世界なんだし、戻れるのかどうかは知らないけど。
晶妃は昨日の出来事を思い出す。
あのリンクに似た人のせいでホームシックになってしまったのか。
「…ちょっと起こしてこようかな!」
「そうだな、様子見てきてくれ。」
食パンにジャムを塗りながらミツルはそう答えた。




そっとミツルの部屋の扉を開ける。
ミツルが使っているベッドの側、床の上に敷かれた布団の中でダークが横になっていた。
音を立てないようにしてそこへ近づく。
静かな寝息が聞こえる。
これじゃ、まるで寝起きドッキリみたいだ。
ドキドキしながらも、晶妃はそっとその寝顔を覗き込む。
すると気配を感じたのか、ダークが薄く目を開けた。
「…ん…?」
し、しまった!どうしよう!!
晶妃は迷った挙句、声を掛ける事にした。
「……ダーク。」
するとパチっと目を開け、ダークは驚いたような表情で晶妃を見つめる。
「アキヒ?」
「おはよう。…ごめん、起こしちゃって。」
晶妃が笑ってみせると、ダークは優しく微笑んだ。
「…目が覚めて、アキヒの顔を一番最初に見れた。よかった。」
「えっ!?」
朝から何を言っているのかと、晶妃は顔を赤くして照れていた。
ダークは寝転んだまま、布団から両腕を伸ばして大きく伸びをする。
「…ダーク、眠れなかったの?」
そう言いながら晶妃は枕元に置いてあった攻略本に気が付いた。
ダークはその視線を辿る。
「ああ…、何となく読み始めたら眠れなくなった。」
枕を抱えるようにうつ伏せになり、本を開く。
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