介入リリカルなのは
□13話 To next stage
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騒乱の中にいる時はずっと長く感じていても、実際は案外短くて。
失ったものもたくさんあるけど、得たものはそれ以上に貴重なものだと信じている。
13話 エピローグ
要side〜
時の庭園は消滅した。
すべて虚数空間に飲み込まれ、まさに跡形もなく消え去った。
俺たちは全員無事にアースラに辿り着いていた。
今は医務室で治療を受けている。
「あれ、フェイトちゃんは?」
ユーノに包帯を巻かれているなのはちゃんが気づいた。
おのれ、淫獣!
なのはちゃんのおみ足に触れるとは……代わってください。
「彼女はアルフと一緒に護送室。この事件の重要参考人だからね」
エイミィさんに頭に包帯を巻いてもらっているクロノが答える。
くそ、みんないい思いしやがって!
どうして俺は普段大怪我してるのに今回は無傷なんだ!
本気なんて出さなきゃよかった……
「申し訳ないがしばらく隔離になる」
「そんな!」
「今回の事件は一歩間違えれば次元断層さえ引き起こしかねなかった重大な事件なんだ。
時空管理局としては関係者の処遇には慎重にならざるをえない。それは分かるね?」
クロノがなのはちゃんを説得する。
なのはちゃんも理屈は理解できている。
しかし納得はできないといった表情だった。
実際フェイトちゃんは母親のために戦っていただけなワケだから納得できないなのはちゃんの気持ちも分からないことはない。
……………………
………………
…………
俺は医務室を出てアースラ内をうろうろしていた。
あの空間にいたら嫉妬が爆発してフェイトちゃんと同室になってたかもしれん。
……いや、それはそれでありだったかも
「おっ?」
「なんだ、ロリコン野郎か」
同じく手持無沙汰そうな速人君と遭遇する。
速人君自身怪我を追っていたが、自分で処置し、あっという間に医務室を出て行ってしまっていた。
「お前は事件の関係者だろ。うろうろしてていいのか?俺はロリコンじゃない」
「ハッ、俺は『鬼ヶ峰グループの軍人』だからな」
「なるほど……」
鬼ヶ峰グループは巨大で強力な傭兵組織。
その戦力は未知数であるが、しっかりと統率のある大きな組織である。
管理局としては無意味ないざこざは避けたい相手だろう。
よってその一員である速人君の扱いにも慎重になっている。
「それよりお前はどこに行くんだ?その先には護送室しかないぞ」
「俺は美少女のお顔を拝見しにね。そういう速人君は何してたんだ?その先には護送室しかないぞ」
「主のお守りも傭兵の仕事だよ」
速人の手には空の食事の皿が2つあった。
「あのバカ、ヘコむと食わねェからな。無理矢理口にねじ込んでやった」
「やっぱり君はドSか」
「あァ?アイツのためだよ、アイツのため」
速人君は皿を適当に重ねて片手で持つ。
「本来ならクソまずい艦内食よりどっかに連れ出す方がいいのかもしれないが……」
「おい、変な気起こすなよ?」
「いくら頭が悪くたって管理局を、白ガキを敵に回したらフェイトの為にならねェ事くらい分かってるよ」
速人君が俺の隣を通り過ぎる。
「『守る』ってのも楽じゃないだろ?」
「ホント、毎日知恵熱出そうだよ」
「だけど速人君、前よりいい顔するようになったな」
「……うっせえ」
背を向けて行ってしまったから確認できなかったが、きっと速人君の顔はいい感じに紅潮しているだろう。
「まぁ、泣き言ばっか言ってらんねェから思いついた事からやってくさ」
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