介入リリカルなのは
□6話 なんか今回俺、カッコよくね?by要
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「正義……?」
「ああ、正義だ。信条やポリシーと言い換えてもいい」
少しなのはちゃんから顔を逸らしながら話す。
空にはつきがまだ高い位置にある。
「ほとんどの人にはそれぞれが思う正しい事ってのがある。
それは人を助けるだったり、悪人を倒すだったり様々だ。
あの子にも自分なりの『正義』があって、なのはちゃんと戦ってでもジュエルシードを手に入れなきゃいけないんだ」
「だとすると、その『正義』を邪魔する私は悪者なのかな……」
なのはちゃんが辛そうに顔を伏せる。
「それは大きな間違いだな。『正義』の反対は『違う正義』だ」
「『違う正義』……?」
なのはちゃんはいまいち理解できていない様子で首をかしげている。
「そうだ。たとえば『命令遵守』と主張するヤツと『悪い命令には従わない』と主張するヤツがいる。
なのはちゃんはどっちが正しいと思う?」
「えっと……どっちも間違ってはいないかな……」
「そうだ。第三者からするとどっちも間違ってないし、どっちも正しい。だがこの二人は確実に対立する。
なぜか分かるか?」
「どっちも自分が正しいと思っているから……?」
「そうだ。自分の『正義』の否定は自分自身の否定になる。
だから譲れない。譲っちゃいけない」
「『自分の正義』……」
今度は言葉を反芻するように繰り返すなのはちゃん。
そうだ、考えればいい。
悩めばいい。
そうすることで人間は大きくなる。
……って俺はいったい何様だよ。
なんか話が終わったら恥ずかしくなってきた。
「さあ、話が終わったなら帰った帰った。もしかしたら、なのはちゃんがいないって大騒ぎになってるかもしれんぞ」
「あ、うん……」
俺はこれ以上の羞恥心に襲われる前になのはちゃんを帰そうとする。
なのはちゃんも帰ろうとしたが……
「ねぇ……」
「ん?」
なのはちゃんが再び立ち止まる。
「要くんの『正義』ってなに?」
……『俺の正義』、ね……。
「大事なものを手放さないこと、全力で守こと……かな?当然なのはちゃん達も含めてね」
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