介入リリカルなのは

□11話 守る
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先手を打ったのは、速人

要との距離を一気に詰めてそこから連続で切り掛かる。


速人の作戦は単純だった。
読み合いになれば確実に負ける。
ならば力でごり押しする。

スピードも一発の威力も速人の方が段違いに上だ。
しかも要はなぜかバリアジャケットを使わない。

一撃で仕留められる。


事実、始めに仕掛けられてから要は防戦一方だった。

僅かな隙を狙って魔力弾を放つが、速人のバリアジャケットの前に弾き返される。

しかし、攻撃の代わりに守りは堅い。
手数ではるかに勝る速人の攻撃を一撃も食らわない。


「クソッタレが!ちょこまかと!」

「うおっ!?」

なかなか一撃が入れられない速人が短気を起こし、大振りになる。

その隙を逃さず、要は速人から距離を取った。

そして、コインを取り出し、速人に向けて放つ。

コインの色は青


「ああ、もう!メンドくせぇ!」

炸裂音とともに煙幕が広がり、速人の視界を奪っていく。

その煙幕を、速人はポールアームを振り回して霧散させる。

しかし、要には十分な時間だった。
煙幕が晴れたとき、一丁の銃を構えた要がいた。


「もらった!」

要は先ほどとは違う大型の青い拳銃が構えていた。
命中精度や扱いやすさ、連射能力などは大きく落ちている。しかし、威力は格段に上だ。

ズドンッ!

大型銃が火を噴き、衝撃で構えた要の腕が後ろに跳ねる。
これならバリアジャケット越しにダメージを与えられる。


「誰がくれてやるか!」

しかし、速人はその魔力弾をポールアームで叩き落とす。
魔力弾は派手に光を放っているため実弾よりは見極めやすいが、高速で飛んでいるそれを叩き潰すのは決して容易ではない。


「おいおい……お前は曲芸師かよ」

「ハッ!たったの一発で仕留められてたまるか!」

ここで才能の差が出る。
要の魔力は先ほどの一撃でほとんど使い果たしてしまった。

総消費量では断然速人の方が多いが、二人の元々の魔力値が違いすぎた。


直に要は体力が尽き、負けてしまうだろう。


(でも、今回は負けらんないんでね……!)


アースラの連中やアリサちゃんにすずかちゃん。

そして、上でフェイトちゃんと闘っているなのはちゃん。


なにより自分が決めた使命――正義のために負けられない。


だから――




要は新たな手札を切る。

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