Short Dream2

□はち。
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「ただいま、」

『おかえり………あっ!』


駆け寄って、確認する。

まただ、またこんな酷い怪我して。



『待ってて、薬と包帯…』

「必要無いよ。」


そう言って、何ともないように着替えに行ってしまう。

着流しの方が楽だから、とか言うけれど、
あたしにとっては逆で。

スーツの時に見えない傷も見えてしまって、苦しさが増すばかり。


ねぇ、毎日何処でどんな戦いをしてるの?

私に出来ることは本当に何もないの?




「ねぇ、4日後のフライトのチケット……」

『えっ?あ、うん!取っておいたよ、はいっ。』


戦闘力が無い私には、サポート中心のデスクワークしか出来なくて。

こうして帰ってくる恭弥を、心配することも許されない。

だって恭弥はいつも「大丈夫」って言うから。

大丈夫じゃないハズなのに、私に優しく微笑むから。



「…どうかした?」

『恭弥っ………私…!』


急に怖くなって、私は恭弥の胸に顔を埋めた。

震えを止められない私の身体を、恭弥はいつものように優しく抱きしめる。

まるで子供をあやす様に髪を撫で、尋ねた。



「怖いの?」



大きく頷く。


私は、私の知らない所で恭弥がいなくなってしまいそうで怖いんだ。

「何ともないよ」って微笑んだその姿が最期になってしまいそうで、いつも送り出すのが嫌なんだ。



『…あのね、』

「うん、」


『また、ちゃんと帰ってきてね。』

「うん。」


『今度ハンバーグ奢るから。』

「うん、」


『その次はお寿司食べに行く。』

「いいね。」



私がもっともっと強ければ、恭弥の隣で戦えたのかな?

一緒に現場に行って、恭弥を助けることも出来たのかな?


恭弥だけじゃない。

一緒の中学だったツナ君や獄寺君、山本君に笹川先輩も。

危ないことばっかりで、それなのに皆揃って「大丈夫」って。




「……ごめん。」

『へっ…?』

「けど君がココにいなきゃ、僕が帰ってくるトコ、無いでしょ。」



涙が、溢れた。


あぁきっと、こーゆートコが私の弱いトコなんだな…。

これじゃぁいつまで経っても、一緒に戦えるワケないや。


『恭弥っ……』



また、4日後には私のいる場所から発ってしまうんだね。

今度はいつ、会えるんだろう。



「大丈夫。」


それが私の一番嫌いな言葉と知りながら、貴方は何度もそう言うんだ。





人目の守護者になれたなら

貴方の傷を少しでも、減らせたのかもと悔やむばかり




fin.

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