Short Dream 4

□土方ハピバ!
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似合わないね、って思い切り笑ったのを、覚えてる。


鬼の副長さんの誕生日が、子供の日なんだもの。


ねぇ、土方さん……

何をあげればいいかな?
何をあげれば喜んでくれる?

『分からないなぁ…』


悩みながら雑貨屋さんを巡ってたら、
ふと目に止まったモノがあって。


『あ、コレいいかも。』


小さいけれど、貴方に似合うプレゼント。

包んで貰って大事に抱えて、屯所に急ぐ。



喜んでくれるかな、
照れくさそうにそっぽ向くかも知れない。

ありがとなって、言って欲しいな、
少しでいいから、笑って欲しいな。


いつも町を見回ってる、土方さんの鋭い瞳。

それが優しくあたしを見つめる瞬間が、たまらなく好きで。

走って向かっていた、その時だった。



どんっ、

『きゃっ…!』

「チッ、」



誰かにぶつかって、車道の方に倒される。


「待てぇ!!」


あたしにぶつかってすぐ走りだした男を、見慣れた黒服が追う。

追われてるのはきっと、攘夷志士なんだろうな…

そう考えながら立ち上がろうとして、気付いた。



『痛っ……!』


捻挫、してる。
ココは、車道なのに。

焦り始めたあたしを攘夷志士を取り押さえた土方さんが見て。


「何してんだ!早く歩道に戻れ!!」

『あ、足が…!』

「なっ…!」



次の瞬間聞こえて来たのは、大きくてうるさいクラクションだった。


『あ…!』

「くっ…!」


もうダメ、

ギュッと目をつぶった。






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クスリの匂いがする。

隣には、大好きな彼がいた。

『土方、さん……』

「おぅ、気が付いたか。」

『あ、たし…』

「悪かったな、巻き込んじまって…」



土方さんは、咄嗟にあたしを庇って…

あたし達は2人で病院送りになったそうだ。


『そうだ…!今、何日ですか!?』

「さっき近藤さんが3日間寝てたっつってたが……」



それを聞いた途端、生暖かいモノが頬を伝った。


「お、おい!一体どうした…」
『だって……土方さんの、誕生日っ……』



祝いたかったのに、
渡したかったのに、
伝えたかったのに、

もう、過ぎてしまった。




「……泣くなよ、」

『うぅっ…だって、あたし……』


"おめでとう"の一言も、当日にあげられないなんて。

その事実が、哀し過ぎて。



「…構わねぇから。」
『え…?』

「5日は一日中、俺の隣にいたじゃねぇか…」

『そ、そんなのっ……』


2人共意識が無くて寝かされてたってだけなのに、

まるで、それが嬉しかったみたいに……



『狡い、狡いよ土方さんっ…』

「な、何でまた泣くんだよっ…!?」

『大好きですっ……おめでとうございますぅっ…!』



必死に必死に伝えたら、

土方さんはあたしの大好きな微笑を見せて。


「ああ…ありがとな。」



手を伸ばして、あたしの頬を撫でてくれた。









無意識添寝

(プレゼントも、その…ありがとな…)
(あ、付けてくれたんですか!?その根付)
(マヨ型なんて、良く見つけたな)
(土方さんの為ですから!)



fin.

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