お題
□黒鍵のエチュード
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「リナリぃー……今日、いい?」
夕方、お風呂に入った後らしい名無しさんが、髪を半渇きにさせたまま私の部屋へやって来た。
「クス、いいわよ。入って」
名無しさんがありがたそうに嬉嬉として入ってくる。そのまま無防備にベットへ寝転がると、大きな両目で私を見上げた。私は頬を緩ませながら、そんな可愛い顔でおねだりする名無しさんの上に乗っかった。
***
「名無しさんー!まったくどこ行ったんさぁー…」
その頃、廊下ではラビが名無しさんを探してた。
「部屋にもいねぇし…この本いらねぇのかなぁ」
名無しさんに貸す約束をした本を弄びながら、きょろきょろと辺りを見回したり、廊下で会う人会う人に名無しさんの居所を聞きまくっていた。
「あー、そういえば名無しさんがリナリーの部屋に行くの見ましたよ」
「まじで?!」
「名無しさんってよくお風呂あがりにリナリーの部屋に行きますよね」
「え、そうなんか?」
「そうじゃないですか。怪しいですね…」
「いや当たり前的に言われても。そんな事知ってるアレンもかなりどうかと思うさ」
とにもかくにも名無しさんの行き先が分かったラビは、「まぁいいや、サンキューな」とアレンに片手をあげ、リナリーの部屋に向かった。
「えっと、確か此処だよなリナリーの「っ!」…へ?」
…なんか、聞こえる?
部屋の中からどうも名無しさんらしい声が聞こえ、つい耳を澄ましてしまうラビ。いけないとは思いつつも、扉に耳を近付けた。
「アっ…り、りなりぃっ」
「何、名無しさん?」
「そこ、そこぉっ!キモチ…っ」
…?!
「やだ名無しさんったら。いやらしい顔して」
「いっ?!いやらしくなんかぁ…っ」
「他の人の前でそういう顔見せちゃダメよ?名無しさんは可愛いだから」
「んっ//りなりぃー…ぃま、入ったぁ…っ」
「こら、ちゃんと私の話聞いてる?」
「痛っ!そんな強くっ…き、聞いてるよぉ…っ」
な…っ?!
「クス、またそんな可愛い顔しちゃって」
「え?!いや、リナリーのが可愛いって」
「いいえ、名無しさんが世界一よ?」
「リナリーってばぁ//」
なななんなんさこれはぁあああぁああっ!!!
(何これ?!名無しさんとリナリー、中でナニやってるんさ?!ここここれ、雰囲気から察するに完璧にセ、セックsあぁもう勘違いさきっと!//さっきアレンがあんな事言うから変に意識してるだけで…そ、そうさ、女同士だし。だいたいどうやってやるんさアレ付いてないのに!あ、でもこのご時世レズもちゃっかり出来ちゃうセックスがあるって…)
完璧に混乱したラビは、唸りながらその場で頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
「あれー?ラビじゃないか!何をしてるんだい?」
とそこへ、仕事中の筈のコムイが陽気にやって来た。