ショート小説集
□自信のロボット
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I博士はスパナ片手に額の汗をぬぐう。
「やったぞ。今度こそ、役立つロボットの完成だ」満足げな表情を浮かべる。
この自信がどこから生まれるのか。ーーそれは、まったく分からない。
最初のロボットはお腹のボタンを押すと同時に大爆発。頭がふっ飛び、体はバラバラとなった。
I博士もヤケドを負った。
次のロボットにボタンはつけない。あまり近くにいると、何かあった時にたいへんだ。I博士は学習した。ボタンはリモコンに。
遠く離れたところから、それを押した。狂ったように暴れ出すロボット。たちまち研究室の中がメチャクチャとなってしまった。
ロボットに追いかけられたすえ捕まって殴り続けられたことや、逆にロボットが逃げ出し一日じゅう町を追いかけ回したこともある。
今までさんざんな目に合ってきた。
I博士はいちおう念のため、研究室の奥から電源を入れてみる。今度のロボットも電源はリモコン。あとは声に反応する。
「おい、作動しろ」
ボタンを押すと、ロボットの目が赤く光り、ぎこちなく首を上下左右に振り始めた。I博士に、近づいてくる。