ショート小説集

□噂の真相
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 噂があった。真夜中の十二時の合わせカガミで、未来の自分が見れるというもの。
 それは最初、一部の人々の間で面白半分にささやかれだし、今では皆の知るところ。
 町ではいわく「例のやつをやってみたが、なんの変化もなかった」だの、「噂は本当だった!本気で、驚いた」だの、いろんな声が飛びかっている。
 きてる服や周りの状態は変わらないらしい。それで判るというわけ。べつの未来人ではなく、自分であることが。
 むろん、真相はやった本人のみぞ知る。謎めいていて、神秘的。噂の特性。皆の、興味を引く理由だ。
 なかには「そんな噂は信じない」と、強く反発する人もいるが、やはり気になってしまう。手軽にできること。我慢、できない。
 いずれ噂の仲間に加わる。
 そんな傾向は、若者に顕著だ。
 A中学では例の噂の話題で持ちきり。あるクラスでは、こんな提案がなされる。「皆で、噂の真相を確かめてみてはどうか?」、と。
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