蒼き空への願い
□第弐拾九話
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「如何な、これは・・・早すぎる」
漆黒に包まれた空間で、眼鏡を掛けた老人が、ゲンドウに呟く様に言った。
机の中央で、ホログラムの様に浮かび上がるモニターには、イロウルとの戦いが映し出されていた。
「使徒の本部侵入を許すとは・・・接触があれば、今までの苦労が灰塵と帰す」
「委員会への報告は誤報。使徒侵入の事実はありませんが」
「本気で言っているのかね?その様な事実は無いと」
「MAGIのレコーダーを調べて下さっても構いませんよ?」
「あんな物、信用出来るかね・・・情報の隠蔽は君の十八番ではないか」
「ご冗談を」
ゲンドウは愛想笑いを浮かべながら言う。
実際の所、ゼーレが使徒侵入が有った事を知っている事はわかっていた。