蒼き空への願い
□第零話[改正版]
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紅の世界に一人の少年が存在した。
衣服は紅に血塗られ、漆黒の髪は無造作に伸び、その瞳には生気が籠もっていない。
そう・・・たった一人、群を否定し個として生きることを望んだ少年[碇シンジ]の姿があった。
「還って来る事は無い・・・だって、あそこは気持ちの良い所だから」
苦痛の無く、快楽だけの世界。
それはシンジ自身も体験した。
このまま身を任せたかった。
だが、シンジは感じてしまったのだ。
他人を認識できない世界は、自慰にも似た独りよがりの世界なのだと。
だからこそ、彼はその世界を否定した。
しかし、その世界からは誰しも還って来ることは無かった。