蒼き空への願い
□第肆話
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だから、シンジは別の話題を振ることにした。
「綾波さん、怪我大丈夫?」
「・・・問題ないわ」
素人が見ても大丈夫と言えるわけもないほどの怪我をレイは負っていた。
しかし、レイは短絡的に答えた。
それがレイのことを知らない人から見れば無理をしていると考えただろう。
だが、彼女は自分の体に関心がない
・・・この体が持たなくなったら新しい体に移るだけ
そうレイは思っていた。
無論シンジにはレイの考えなど最初から分かっていた。
しかし、シンジはあえてそのことについて言わなかった。
この部屋は監視されている、今自分が怪しまれることは得策ではないからだ。
ATフィールドを使えばダミーの映像を簡単に流すことができるし、盗聴器をすべて壊すこともできる。
だが、シンジのATフィールドはそれに適していない。
シンジの力が強すぎるのだ。シンジには細かい作業は向いていなかった。
「そう・・・綾波さんは何の望んでいるの?」
「・・・・私には何もないわ、ただ流されていくだけ、だから望むものはないわ」