スザク×女の子ルルーシュ小説
□僕だけのお姫様−3
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スザクはあの後なかなか眠れず(好きな子が隣にいたら眠れないものだが)ようやく明け方頃にうとうとして眠りにつけたものの、息苦しさからまたふっと目が覚めた。
柔らかいものが顔全体を覆い、息が上手に出来ない。
ふがふがと息をしてつつ、目を開くと、顔をその柔らかいものへとさらに押し付けられる。
その状況にスザクは瞳を見開いた。
「スザク…ん…」
「へっふぁ」
スザクは顔を覆われているので、くぐもった声しか上げられなかったが、声が出せたらそれはとても大きなものになっていただろう。
スザクの顔が押し付けられていた柔らかいものは、大好きな女の子の胸だった。
スザクの顔をぐいっと引き寄せていたのは、大好きな彼女の細い腕。
スザクは、体の体温が一気に上がって、顔と耳、首だけに留まらず、手までも赤くなってしまった。
この状況はまずい。
男としてこれはすごく幸せなのだけれど、大好きなルルーシュの胸に顔を押し当てられて、自分の体がこのまま無事にすむはずがない。
それに朝の現象も色々とあるのだ。
あくまでも予想だけれど、こういうことにまったく知らなさそうなルルーシュには絶対に言えない。
可愛い彼女に下世話な世界を知られたくない。
とにかく、起こさないようにルルーシュの腕を解こうとするが、眠っている彼女はごねるように寝言でやだやだと言葉を紡ぎ、首を横に振る。
呼吸が止まりそうなくらいに苦しそうに、嫌だ、嫌だ、と何度も何度も言葉が続けられる。
そして、ぐっとさらにスザクの顔を自分の胸と押し付ける。
「…や、だ…嫌、だ…」
続け様に、スザクいくな、と零された言葉が、泣き出しそうな声になっていたことで、スザクは完敗だった。
寝言の内容から、もしかしたら幼い頃に別れてしまった時の夢を見ているのかもしれない。
一人寂しく夢の中で、たたずんでいるのかもしれない。
こうしていることで、ルルーシュの心の安定が少しでもはかれるのなら、自分はそれを受け入れるしかない。
自分の体の異変と必死に格闘しながらも、スザクはそれをぐっと理性で堪えて抑えつけ、ぐずるルルーシュの細い体に腕を回した。
「ルル、大丈夫だよ。大丈夫」
背中を撫で髪を梳いてあげると、安心したように苦しそうな呟きは、静かな寝息へと変わる。
「僕はここにいるよ」
何よりも誰よりも大切に思う眠り姫の髪を梳いて、スザクはぎゅっと抱き締めた。