蜜処・参 【萬】

□反省文。
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籠球:仙道
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「とにかく、言い訳はどうでもいいので
コレ、書いてもらえますか?」

「そーんな怒んないでよォ、ネ?」


この遅刻連続1週間の記録を
悪びれる態度も無く突破した先輩は
何がそんなに楽しいのかニヤニヤ。

「先パイ、私このあと風紀の会議あるんです。
書記なんで出席しないといけないんで」

「あ、ごめーん。
シャーペン貸して?」

と、言いながら既に人のカバンを勝手に漁っている。

「な、ちょ!!!勝手に触んないでくださいよ!!」

『あの阿呆からテコでも反省文30枚
無理やり書かせて持って来い!!』と
無茶な営業ノルマを課せられて、今私はここに居る。
高々風紀委員会の書記ってだけなのに、
そんな無理難題を押し付けられたことにもイライラ。
悪びれる様子も反省の"演技"もないこの男にもイライラ。

何より・・・・
こんな男に惹かれてる自分に堪らなく苛々した。
それを知ってか知らずか、イイように
茶化したりあしらったりしてくるこの男の言動の適当加減。

そんな男に目が離せない自分が情けない。
すべてが憎らしく腹立たしく・・。


絶対に好きだと感づかれてはいけない。
なにより、私には成就させる気がないのだ。

傷つくのが目に見えている。
何より、自分自身。
この男への恋愛感情を認めた訳じゃないんだから。

好きになる訳ない・・こんな奴。


「あっ、飴玉ハッケーーン。コレ貰ってイイ?」

「・・・ドーゾ」

人の保存食を口に放り込み、あたしの筆箱から取り出した
シャーペンを持ち、束になった原稿用紙の前に座る。

「…はーー、ね。委員長も手伝ってよ」

「手伝うワケないでしょ!先輩の反省文ですよ?
っていうか、委員長じゃありませんと何度言えば・・・」


"むー"と、猫なで声で不貞腐れ、やっと原稿用紙にペン先を向けた。

カリカリ・・と文字を連ねる音。


やっとか・・・と、溜息をつく。
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