ぶっく
□きっと想いは届くから
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「謙也…うちどないすればええ?」
目にいっぱい涙を溜めながら俺に問いかける。白石を想って泣く玖恩をぼんやりと見て思う。
ホンマに好きなんやなぁ…って。
想いを伝えられないと相談してくる玖恩とは幼なじみ。
白石の事を聞く度に俺は酷く胸を痛める。
なんでこんなん聞かなアカンねん。
俺はお前がー…。
「告白したい…、せやけど白石くん彼女居んねんやろ?」
「……おん」
俺の答えにまた涙を流す。
あぁ…なんで白石の為に泣くん?
お前は泣かんでええやんけ…。
「ふぇ…っ、ぇ…ッ‥っく‥」
声を押し殺し小さく肩を震わせる玖恩を抱き締めて慰めてやることが出来るならどんなにええやろ。
せやけどずっと泣いとる玖恩を見るのは辛いから…玖恩には泣き顔より笑顔の方がええから…
せやから…
「…気持ち、伝えてきぃや」
「え?」
「伝えてきぃや…大丈夫。きっと想いは届くから…な?」
俺の言葉に勇気を持ったのか頷いて走り出した。背中を見つめながら俺は泣いた。
ホンマは知っとったんや。
2人は好き合っとること…せやけど見るんが辛いやろなぁ思うて言わんかった。
堪忍な…