〜scramble〜
□〜scramble〜
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暗い路地裏・・・
「はっ…はっ………、」
1人無我夢中に走る本を抱えた男の子
男の子は怯えた顔を一瞬後ろへ向けた
後ろには……黒い翼を持つ2人の『悪魔』
男の子はただひたすら走っていたが当然の如く足は徐々に重くなっていった
「…っあ!」
小さな石に躓き前のめりに倒れ込んでしまった
その反動で大事そうに、守るかのように抱えていた一冊の本が男の子の手元から離れザァァッと擦られる音をたて地面に落ちた
男の子は擦った足に痛みを感じつつもすぐさま起き上がり本を手に取ろうとした
しかし、ぐんっと後ろに引かれそのまま突き飛ばされた
「……っかは!!…ゲホッゲホッ……はっ…」
息を整えふと顔を上げた
本は悪魔の手に渡っている
「……か、返してっ!!それはっ…」
「駄目だよ、これは大切な物だから悪魔族が預かってあげる」
黒ずくめの悪魔は本を片手に男の子を見下ろし、冷たい口調で言い放った
その何とも言えない威圧感
男の子は何も言えずただ怯えたように震えながら悪魔を見つめた
その時
「ねぇ臨さんっ!!私にもそれ持たせて持たせて〜♪」
もう1人の女の子の悪魔が興味津々に臨さん…折原臨也に問い掛けた
「いいよ、きょーちゃん。ただし、取られちゃ駄目だよ?」
「はぁい♪」
きょーちゃん…來竹桃は嬉しそうに本を眺めた
男の子は2人を見上げ、動くことも出来ずにカタカタと小刻みに震えていた
するとそれに気付いた來竹桃はニヤリと微笑みを浮かべた……
「…きょーちゃん?」
その微笑みを見た臨也は來竹桃を呼び掛けた
まるで來竹桃のその目は獲物を狙う野獣の目立ったからだ
「怯えてる…あははっ」
「駄目だ、きょーちゃん。今回の仕事はこの本を…」
「いいじゃん?ちょっとくらい遊んだって………バレないでしょっ!!!!」
ザァッと黒い羽が集まり、1つの形を作って行く……あれは…剣?
「…………はぁ」
臨也は溜め息をつけば傍にあった木箱に腰掛け、欠伸をした
男の子は、ただ呆然と來竹桃を見つめていた…と言うより目が離せなかったのだ
美しくも狂ったように舞う羽…その中に獲物を見定めるような本能の滲み出た光る目が男の子を見つめているのだから………
「どうやって……いたぶろうかなぁ……?」