〜scramble〜
□〜scramble〜
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「どうやっていたぶろうかなぁ…」
くすりと笑えば地面に降り立ち少しずつ近付いてくる
「あ……の、」
「ん?なぁに?」
「…………本っ…」
震える声を絞り出すように発した
見つめる先には本
來竹桃は本をひょいっと臨也に投げ渡し
「名前、聞いとこうかな♪」
本の事について触れたくないのか、男の子に問いた
男の子は何も言わないようにしようと思ったが、すぐその考えをやめた
剣先が首元についている……
來竹桃はにっこりと微笑みを浮かべた
無言は許さないと言うことだろう
男の子は震える声ながらも來竹桃に名前を呟いた
「零翔………」
「そう、零翔…良い名前ね、知れて良かったよ♪もう…呼ぶことは無いけれど……ね?」
さようなら
そう小さく呟けば躊躇なく零翔に剣を振り下ろした
「………ッ」
もうだめだ、と零翔は頭を抱え下を向く
が一向に痛みは感じられず
寧ろ…心地よい風を感じた
ふと顔を上げると
白い羽 羽 羽 ……声。
「……大丈夫か」
「しししっ♪悪魔に追われるなんてお前何したわけ?wwwww」
声の主は2人いるようだ
羽でよく見えなかったが…はらりはらりと羽は落ち行き、2人の背中が見えた
「………天……使?」
零翔は真っ白な羽を見つめて目を輝かせて今まで絞り出さないと出なかった声が嘘のように発せられた
その単語を聞き、1人の金髪の男の人が
「ばぁか!!天使じゃねぇーよ!!俺らは、神の使いだ!!」
「神の、使い……」
そうだ、とクルッと零翔の方に向き直した
真っ赤な真紅の瞳が印象的な彼は……誰なんだろう
もう1人は來竹桃と戦っていた
「おい、神の書はどこだ」
「臨さんが持ってるよぉ?まぁ…あの臨さんに勝てる奴なんていないけどね♪」
來竹桃はもう1人の神の使い……猫耳の生えた紫の髪の人に向かってペロッと舌を出した
「……だ、そうだ。堕王子」
「堕王子じゃねぇーし!!やみやみのくせに生意気だし…っ!!ナイフの錆にしてやろーか?うっしし♪」
ブワッと羽がナイフに変わり、いくつものナイフがやみやみと呼ばれた猫耳の彼に向いた
零翔はただただ唖然と今起きている現実に目を向けざるおえなかった
「666王子…分かった悪かった。神の書はそっちの黒いのが持ってるらしい。頼んだぜ?」
「しししっ…あ゛はぁっ……」
ピッと自分の腕をナイフで切りつけたと思えば
狂い始めた
「あ゛はぁぁっ!ししっ…神の書……返して貰おうかっ!!!!」
ナイフを脳内で操っているのかスッと手を動かすだけで宙に浮いているナイフが臨也に向かっていく
臨也はぴょんっと飛べば
「危ないなぁ〜?」
と余裕だった
そんな余裕な表情をよそに王子はニヤリと微笑んだ
「うっししっ♪はぁ゛っ…ししっ…」
「おっと、ほっ、ねぇ!さっきから的外しすぎな僕ちゃん?名前くらい教えてくれない?」
的外れなのは本当だった
本当に臨也を狙っているのか分からないくらい臨也を避けるようにナイフが飛んで行く
「しししっ♪俺は…プリンス・ザ・リッパー!!666王子さっ!!」
「…………っ!?な、じゃあ君がっ…」
その名を聞いた瞬間臨也はピタリと避けるのをやめた
王子の口角がさらに上がる…
闇猫はただ当然だろ、と言う顔をしていた
臨也の顔がどんどん青ざめてゆく
來竹桃は状況が把握出来ずに臨也に問い掛けた
「臨さんっ!!どうしたのっ!?」
チラリと目だけ來竹桃に向け、ゆっくりと口を開いた
「彼は……神の使い一天才と呼ばれる…血染めの神の使いと呼ばれ……別名…切り裂き魔……そう呼ばれる由来は………………」
武器は ナイフと
ワイヤー
臨也は王子の武器を呟けば、自分の回りに仕掛けられたワイヤーを見つめた
すこしでも動けば……
切り裂かれる
「うっしっし…うっしっしっしっしっしっ、あ゛はぁっ……!!」