〜scramble〜

□〜scramble〜
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「しっしっしっ…♪」



このワイヤーに囲まれた状態じゃ手も足も出ない


と言っても、早く脱出しないといつ殺られるか分からない



「王子、さっさと殺れ」



本は俺が奪うから



そう闇猫が呟いた

その時ピクッと小さく零翔が反応した………



「ししっ♪りょーかい♪」




いくつものナイフが王子に操られ臨也へと向き、放たれる



しかし臨也は余裕の表情で


「遅い」



そう言ってニヤリと笑った


瞬間



ドドドドドッ ドンッ



と羽で用意されたのであろう爆弾が爆発し、ワイヤーは爆発の反動と爆風で吹き飛ばされた




「まったく…無駄に体力使わせないでよね?」



パッパッと砂ぼこりを払えば余裕の笑顔で溜め息をつく



しかし




「あれ?臨さん…神の書は?」



「………え?なっ…」




臨也はバッと本を持っていたであろう何も持っていない手を見つめた




「はぁ?」



「何?何でねぇーわけ?」



闇猫も王子も今の状況についてこれていないらしい


つまりこの2人じゃないと言うことは…ただ1人




臨也は辺りを見回す


闇猫の影から零翔が臨也を見つめていた


神の書を持って………




「いつの間にっ…!!私が取り返す!!」



「待って、きょーちゃん。今日はお邪魔がいるから引き上げよう。」



そう切り出したのは臨也



「天使ならレベルが同じだけど…厄介な事に神の使いだ。殺られる前に…ね」




來竹桃は何か言いたげだったが臨也の言うことに偽りは1つもない


言うことを聞いて引き上げる事に賛成した





引き返していった2人を見送った王子達は、肩の荷をおろした




「はぁぁ…疲れた…」



「やみやみぃ〜…止血して〜」


「はいはい」



必ず用意してある包帯を取り出し、手慣れた手付きで王子の腕に巻き付け、テープで止めた




「ん、サンキュ」



「あぁ。……ところで君」



王子に短く返事を返すと闇猫はクルリと零翔に体を向けた




「……名前は?」



「零翔……」




「じゃあ零翔、その神の書を渡してくれ」



スッと手を伸ばす


しかし零翔はぎゅっと力を込め、本を渡すような素振りは1つも見せようとしなかった




「おい、お前!それは……」



「王子」



「なっ…やみやみ…だってそれはっ…」




「いいから…」



王子が食って掛かりそうになったためか、闇猫はすぐさま止めに入った



今、敵だと思われてしまったら終わりなのだから




王子がむくれているのを見て見ぬフリをして、闇猫は再び零翔に向き直す




「それを渡したくない?」



コクンッと零翔は縦に首を振った



「それはどうして?」



「………。」




零翔は黙り込んでしまった


言うことを聞いて黙って見ていた王子は…やはりキレた



「お前!それはな!!蒼神弥の…神の物なんだよ!!」



「王子…」



「うるせぇーし!!やみやみはちんたらし過ぎなんだよ!!力づくでも取り返せば良いじゃん!!」


「だっ…ダメっ…!」



零翔の忠告を聞かずに王子はバッと本に手を触れた



その時………









バチッ…!!







「………っ!?」




王子の手に



電流が走った…………

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