〜scramble〜

□〜scramble〜
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「琉と初めて会ったのは俺なんだー♪」


鼻高々に王乃は言った
とても嬉しそうに、そして照れ臭そうに…


「へー、俺って琉さんたちが高校に入ってからここに来たから知らないわけだなぁ」


「俺とクリスタル以外は知らないだろうねw………」


王乃は笑って、フッと遠くを見つめた


「そんな琉がもう…あんなに大きくなっちゃって…」


目を瞑って、ランドセルをからっているあの子を思い出す


「……俺の方が、神の使い……やってたはずなのに…見て、あの真剣な目。」



王乃はゆっくり目を開けると神を真剣に見つめる琉羅を見る

闇猫は黙ったまま王乃を見て、続いて琉羅を見つめた

すると、くるっと顔だけこちらを向いた琉羅は


「何してんの。早く神をこっちに戻すよ!」


生き生きしている




………ようには見えなかった。
怖がっているのが目に見えたのは、誰でもない闇猫だった。

闇猫はそんな琉羅を見つめ、ふと言葉を漏らす…



「ねぇ、琉さん…」


「ん?」


琉羅が闇猫の言葉に耳を向けると、闇猫はフッと笑顔になり



「戻すんじゃなくて、、




殺すんだよ。」


軽く言ってのける闇猫の言葉に耳を疑った


「はっ…?何言ってんの…?神相手に、そんなことっ…出来るわけないじゃん!」



琉羅が体ごと闇猫の方に向いた。その時…―――



「何をよそ見している」



蒼神弥はいつの間にか近くに来ていた。ブンッ…――と大剣を琉羅に向かって振りかざす。



もう、駄目だっ…――!!



そう思った、瞬間…



フワッと風が吹いたと思えば、

キンッ…――と、その重い不安とは真逆に軽い金属音が耳に響いた



「……え?」


パッと顔をあげる
目の前が少し暗かった…でも、何か温かかった…。


「やみ……ねこ…?」


「ん?」


闇猫から支えられていたのだ。今にも崩れそうな足に気づく…。見上げると黒い刀で大剣を見事に止めていた。



「あんまり無理しちゃ駄目だよ?琉さんと王乃は…女の子なんだから」


【女の子】と言う単語に、琉羅の体はビクッと反応した



「なっ!?…ち、ちがっ…俺は!むぐっ…」


支えていた手で琉羅の口は塞がれた。そして勢いよく大剣を弾けば



「分かってるよ、でも…ここに俺が居る以上…君たちに傷なんて付けられない。俺が…守るよ。」



「なっ……!」



ポンッと頭を撫でれば蒼神弥に視線を向ける。

蒼神弥から放たれる真っ黒なオーラ…


嗚呼、まるで…



「俺だな…」


そう呟くと静かに微笑んで、タッ…と蒼神弥に向かって走っていった



「闇猫…」


ぽつりと琉羅は彼の名を呟く…すると



「あー、やだやだ」


王乃が前に出る
琉羅の頭を撫でれば闇猫を見てムッとした。しかし、すぐ笑顔になる。


「あんまりカッコいいことすると、王子が妬くよ。そんで相手が琉だと…俺もね…」


「え…王乃…?」


ちらりと琉羅を見れば、ニッと笑って…

「ほら行くよ、琉!闇猫だけにカッコつけさせてて良いのー?」


「……だめ!!行こう王乃!!」


ブワッと風が吹く…
まるで、「無理」だと言う気持ちが消えたかのように…



(やってくれるね、闇猫…今回は感謝してあげるけど、これ以上琉に手出ししたら怒るからね)


「さぁ…、」


パラパラッ…と小粒の雨が降り始める…


「俺の雨から逃げ切れるかな…?………神様、」


−−−−−−−−−−−−−−−−


「おい、ぱんだ」


「はい?」


何食わぬ顔でカチャッ…カチャッ…と銃に弾丸をいれていく。



「もうやめろ…。お前だってたった一人の兄を殺したくはないだろう…?」


ぱんだは王子を見る
フッと笑顔になり…


「いいえ?私は闇兎のためなら…」

「じゃあやめろよ!!!」


闇兎は大声で叫んだ。ぱんだも驚きを隠せないようだ。

その後、すぐに悔しそうに言葉を呟く



「どうして…?闇兎は…一緒にいたくないのですか…?そう思ってるのは、私だけですか…?」


闇兎は黙り込む
そんな闇兎を見てぱんだは…


「私は、兄なんて知りません。私は…兄じゃない…。私は、私でいたいだけなの!!」


カチャッと勢いよく王子に銃を向ければ、


バンッ……――――――


躊躇なく引き金を引いた

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