民警

□ある夏の日
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俺より均等が取れてるんじゃないのかと思うのに、俺より力がないっていうのが不思議だ。
まぁ俺はミサイルとタイヤ持てれば仕事に支障ないし。
ボリスみたいに筋トレとかそんなしてるわけじゃない。
脱いだって変わらないのはわかりつつも。

「俺も脱ごうかな」
「え?」

そう呟いて立ち上がり、シャツを脱いだ。
吸った汗で生地はしっとりと湿ってる。

「…。うわー本当だ。何もかわらないね!」
「だから言っただろ…」

椅子の上でうな垂れながら、ボリスは脱いだシャツで仰ぎ風を作っている。
その風がほんのりこちら側にも来るが、如何せん生ぬるい。

「風呂入ってくるわ」
「あー次俺も入る」

けだるそうにボリスは浴室へと歩いていく。
が、数歩進んだ所で立ち止まり俺を見た。

「お前も一緒に入るか?」
「え?」
…。え?
暑さで耳がおかしくなったんだろうか。
いや、聞き間違いじゃない。

「どうせだから暑さ引くまで風呂場にいねぇ?」

そう、眉間に皺をよせながら気だるそうに言うボリス。
確かに風呂場は涼しいしそれは良い案だ。
だけど、だからって一緒に入るのはどうなんだ?
まかり間違って俺がボリスにナニな事をしたらボリスはどうなの。
というか、風呂場狭いんですけど…。

「行くぞーコプチェフー」

そう言いながら、俺がダラダラと考えを巡らせていた間に。
ボリスは冷蔵庫から冷えたバルチカと煙草、灰皿を持って風呂場へ行ってしまった。

「バルチカはわかるけど、煙草も吸うの?」
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