民警

□疑心疑笑
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「そんな風に苛立ち抑えなくていいんスよ。俺の前では」
「何、」
「その腹ん中に溜まってるもの吐き出した方が楽になるよ先輩」
「お前には関係ねぇだろ」
「俺は別にボリスに怒鳴られたって平気だし、あ、殴られるのはお互い痛いから無しだけど」
「俺の話聞いてるかお前」
「何があったとか聞かないけど、俺には変な気ぃとか使わなくていいよ。俺も使ってないし」
「だから、」
「相棒なんだからさ」

そう言って、奴はまた笑った。
その笑った顔があまりにも優しくて。
俺は全身の力が抜ける。
本当、変な奴だ。

「あーばかばかしくなってきた」

イラついてたのも忘れてしまうくらい、小さな事で起こした小競り合いも。
こいつに対してのいつもの警戒心も疑心も。
全部。

「ざっとは聞いたけど、喧嘩のきっかけなんだったの?」
「あー?忘れたわんなこと」

コプチェフがタバコを取り出し、俺は短くなったタバコをもみ消した。
2本目のタバコを咥えると、コプチェフが自分のライターの火をつけ俺の前に出す。
俺はその火を借りて、タバコに火をつけた。

「サンキュ」
「どういたしまして」

笑ってそういうコプチェフ。
本当こいつ、

「変なやつ」
「え?誰が?」
「お前が」
「…俺?」
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