民警

□疑心疑笑
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今まで何人か相棒を与えられたが、どいつも俺の顔色を伺う奴ばかりだった。
そういう雰囲気を出している俺も悪いんだろうが、あからさま過ぎるびくついた態度は神経に障る。
頑張っても俺か相手が2週間でダウンして相棒が変わる。
だが、こいつとは組んでだいぶ経つ。

「ねぇ先輩」
「先輩っつーなって言ってんだろ。何度言えばわかんだお前は」
「えーでも年上でしょー?」
「1つだろ。しかも同期なんだから先輩扱いすんじゃねぇよ」

だらだらと文句を垂らしながら、コプチェフは左手で煙草の灰を落とす。
そして俺の顔をじっと見た。

「な、なんだよ」
「なーんでみんなわかんないかなぁ」
「…は?」
「いやこっちの話っス。今回も向こうが悪いんでしょ?喧嘩の原因」
「何でそう思うんだよ」
「だってボリス、間違った事でしか怒らないから」

そう言ってまた、笑う。
こいつは、いったい何なんだ。
頭の中を覗かれた気がしてぞっとした。
いつもの笑顔だ。
だが、誰にでもいつでもする笑顔だからこそ。
考えが読めなくて怖い。

「何でそんな事わかんだよ」
「逆に、何でみんなはわかんないんだろうね」
「…俺が頑固だからだろ」

そう言って俺は短くなった煙草をもみ消した。
立ち上がって扉の方へ行くと、コプチェフがあわてて俺の後を追った。

「ねぇねぇボリス!お昼食べた?」
「食ってねぇ」
「じゃーさ、一緒に食べない?」
「あー?」
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