民警
□疑心疑笑
5ページ/5ページ
更衣室を出て、二人並んで歩き出す。
俺の隣では今日の食堂のランチメニューを思いだそうとしている男。
指を折りながら、ポテトだのスープだのボルシチだの言ってる。
俺も頭の中で指を折りながら、こいつと何日保ったか考えた。
たぶん、2ヶ月くらい。
「意外に保ったな」
「え?何?」
「何でもねぇ」
こいつの評判はかなり良い。
俗に言うイケメンっていう顔つきな上に男女、先輩後輩分け隔て無く接してる。
物腰も柔らかいし、いつでも笑顔と冗談で場を和ます天才だ。
だが俺はこいつが苦手だった。
確かに他の連中とは違って付き合い安いし運転技術も申し分ない。
だがあの笑顔には気を許せなかった。
「せんぱーい!」
「だから先輩って呼ぶなって言ってんだろ」
「えー?」
「お前の頭はニワトリかっつーの」
「ぶっ!ボリスでもそう言う事言うんだね」
「てめぇ。バカにしてんのか」
売り言葉に買い言葉。
こんなやりとりができるのは今の所こいつしかいない。
気はまだ許せないが、でもまぁ。
もう少しこいつと組んでてやってもいいか。
こいつとだったら案外うまくいけんじゃねぇかって、
心のどっかでそう思った。
組んだばかりの頃は先輩呼び+緩い敬語なコプチェフ。