民警

□エイプリルフール/D
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朝起きて、カレンダーを見たら4月1日。
日付の下に小さく「エイプリルフール」と書いてあった。
あーそうか今日。
口の端が上がる。
からかってやろうか。




オーブンで焼き上げたトーストにジャムを塗る。
俺とこいつの2枚分。
コプチェフはコーヒーを入れてる。
俺とこいつの2杯分。

「はいコーヒー」
「んー。ほら、パン」
「ありがと」

淹れたてのコーヒーを受け取り、俺はジャムを塗ったトーストを渡す。
最近はこれがいつもの朝。
トーストを齧ると口の中に甘いジャムの味が広がる。
何でイチゴジャムなんだよ…。

「イチゴジャムだと不満そうだねボリス」
「んー甘い」
「甘いの好きでしょ?」
「嫌いじゃねぇが好きでもねぇよ」
「でも…あとマーマレードしかないし」
「却下。問題外」
「…嫌い?」
「無理」
「じゃ今日何か買いに行こうか」

そういって笑うコプチェフ。
気づいたらこいつに好意をもたれ、寝食を共にするようになって。
付き合って、婚約して。
いつの間にか互いの部屋に互いの物が増えていった。
俺のものが、こいつの部屋に。
こいつの物が、俺の部屋に。
溢れいてく。
あ、エイプリルフール。
ふと、朝見たカレンダーを思い出す。

「なーコプチェフ」
「んー?」
「結婚式挙げるか」
「…は?」
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